(和訳)GCCSI最新ニュース:公開状:CO2回収は気候問題への取り組みと排出量ネットゼロの達成に極めて重要

(和訳)GCCSI最新ニュース:公開状:CO2回収は気候問題への取り組みと排出量ネットゼロの達成に極めて重要

(本日本語訳は当該原典記事の参考用日本語訳となります。正確な解釈につきましては原典記事をご参照ください。)

 

発行日:2023年12月19日

原典:グローバルCCSインスティテュート

 

「英国ガーディアン(Guardian)紙編集部 御中」

 

12月8日、英国『ガーディアン(Guardian)』紙に掲載されたNina Lakhani氏による記事「少なくとも475人のCO2回収ロビイストがCOP28に参加(At least 475 carbon-capture lobbyists attending COP28)」は、気候変動に対処するために尽力している何千人にも上るCOP28の参加者と共に排出量ネットゼロの達成に向けて取り組んでいる組織及び個人だけでなく、カーボン・マネジメント技術について誤解を招くような紹介をしています。

記事内で「実証されていない」及び「取るに足らない」と呼ばれているCCS技術は、1970年代から利用されてきた技術や、何十年にも及ぶ世界的な研究、開発及び政府間協力によって裏打ちされています。現在、全世界では操業中の施設が40か所以上あり、年間5,000万トンのCO2排出量を削減する能力を持っています。これは、英国の道路から2,500万台以上の乗用車を排除することにほぼ相当し、同技術がもたらす削減規模からすれば、取るに足らないとは言い難いでしょう。[1]

同記事は、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change:IPCC)に言及し、「CCUS及びその他の実証されていないニッチな技術は、遅延戦術であり、気をそらすものである」と述べていると、誤って引用しています。そのようなことは、IPCCのどの報告書にも書かれていません。それどころか、 IPCCの1.5℃特別報告書(Special Report on Global Warming of 1.5 °C)には、今世紀中頃までに排出量ネットゼロを達成するための4つの経路のうち3つでCCSの大規模利用が含まれています。IPCCは、2023年3月に発表された第6次評価報告書(Sixth assessment report:AR6)の中で、同技術について、セメントや化学製品製造と共に電力部門にとって極めて重要なCO2緩和オプションであると言及しています。

IPCCに加え、数多くの科学及び気候関連組織が、CCSの普及拡大の必要性を極めて重要だと認識しており、それには、最新のネットゼロ・ロードマップの中で2030年までに1ギガトン、2050年までに数ギガトンのCO2回収が必要になると推計した国際エネルギー機関(International Energy Agency)も含まれています。また、英国気候変動委員会(UK Committee on Climate Change)は、CCSを「オプションではなく、必要なもの」と見なしています。

CCSは、大量排出型産業や発電といった世界中で今も成長し続けている部門を含む、経済全体のほぼ全部門におけるCO2排出量への対処に役立つ、用途の広い気候技術です。鉄鋼、セメント及び肥料は、現代社会が農作物を支え、安全で信頼性のあるインフラを維持するために頼っている商品及び材料です。私達は、これらの主要商品及び材料を引き続き必要とし、それに依存している一方で、そこから排出されるCO2と共存することはできません。CCSは、これらの部門の大幅な脱炭素化を実現できる、現在利用可能なほんの一握りの主要技術の1つなのです。

私達が排出量ネットゼロを達成するつもりならば、COP28 で合意されたように化石燃料からの移行、効率改善、再生可能エネルギー及び原子力発電の拡大、並びに排出されたCO2の回収及び貯留を含む、利用可能な全てのオプション及び技術を展開して行かなければなりません。

4月に主要経済国フォーラム(Major Economies Forum)で初めて紹介され、先週のCOP28期間中に議論されたカーボン・マネジメント・チャレンジ(Carbon Management Challenge)には、現時点で、英国、米国、カナダ、ヨーロッパ共同体(EC)、ブラジル、インドネシア等、この極めて重要な気候技術の普及を加速させることを目指す20か国が参加しています。この書簡の署名者として、私達はこのイニシアティブの使命と目標を称賛しており、それを支援する用意があります。

 

CO2回収貯留協会

(Carbon Capture and Storage Association)

グローバルCCSインスティテュート

(Global CCS Institute)

IEA温室効果ガス研究開発プログラム

Greenhouse Gas R&D Programme)

国際CCS学術センター

(International CCS Knowledge Centre)

ゼロ・エミッション・プラットッフォーム

(Zero Emissions Platform)

英国インペリアル・カレッジ・ロンドン

(Imperial College London)

教授 Nial Mac Dowell

 

書簡のPDF版はこちらから入手できます:カーボン・マネジメント公開状(Carbon Management Open Letter)

 

[1] 160グラム/km及び年間12,000kmと想定。出典:https://www.statista.com/statistics/1233337/carbon-footprint-of-travel-per-kilometer-by-mode-of-transport-uk/

 

 

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