CCS技術の中核研究機関として開発を推進する財団、RITE

Organisation: Research Institute of Innovative Technology for the Earth (RITE)

1.    まえがき

前稿までは、政策的側面、国際連携という観点から、政府および石炭関連団体JCOALの動きを紹介しました。本稿では、技術開発の点から、日本における動きを紹介します。CCSに関連する研究開発では、民間企業を別にして、政府系の機関としては、NEDOやAISTがあり、民間からの出資を受ける財団としてRITEやIAEがあります。中でも、RITEは、地球環境の保全に特化した研究開発を進めており、現在、政府や政府系機関からの資金を受けながら、CCS関連技術の開発を重点的に進めています。ここを知ることで日本の研究開発の状況が理解できると思います。

2.    RITEの概要
RITEは、1990年に、革新的な環境技術の開発を行う中核的研究機関として設立された財団(99億円)であり、研究施設は、京都議定書でも知られている京都市の郊外に置かれています。 研究人員はおよそ160名で、年間事業予算約24億円(2013年度)で運営されています。地球温暖化対策として、いわゆる2℃シナリオ(2 Degree scenario , 2DS)を達成するためにはCCSが不可欠な手段と位置づけ、積極的に技術開発を進めています。

3.研究テーマ
RITEで扱われているテーマには、地球温暖化防止のシナリオに関する研究、並びに、CCSおよびバイオリファイナリーに関する研究開発があります。そのうちCCS関連の技術では、CO2回収技術の低コスト化により実用化を促進するため、化学吸収液、固体吸収材およびCO2分離膜の開発に重点が置かれています。その適用対象は、火力発電由来のCO2回収だけでなく、製鉄やセメント業など産業分野でのCO2回収も含めたものであり、RITEで開発された吸収液は民間企業と連携した実証も進められています。一方、貯留技術では、帯水層を対象として、地質モデル構築、光ファイバー、X線CT装置を用いたモニタリング技術、シミュレーション技術、海域環境影響評価手法の開発、CCS実用化に向けた技術事例集の作成が進められています。RITEでは、2000年中頃に日本海側地域で10,400トンのCO2を帯水層へ圧入する試験を行っており、そのデータをベースに日本特有の地層モデリングを開発し、現在も改良を加えています。EORについては石油資源開発で実績のあるJOGMECで開発が進められていますが、別稿にて紹介します。

4.最近の顕著な成果
2013年、10月、新日鉄住金エンジニアリングは、RITEと新日鐵住金が独自開発した化学吸収液を使ったシステムの商用化を図っています。これは、液化炭酸工場向けのCO2回収設備で、製鉄所から出る高炉ガスからCO2を回収するものです。世界最高レベルの性能(2.0GJ/ton-CO2)を持つと言われています。
固体吸収材については、アミンを比熱の小さい固体に担持することで、吸収液を凌駕する大幅なエネルギー・コスト削減が期待される技術で、これまで材料の開発・探索や、プロセスシミュレーションによる検討を行っています。低温(減圧)脱離性能に優れた材料を開発し、世界トップレベルのCO2吸収量(6mol/kg)を達成しました。
分離膜については、IGCCの合成ガスを対象にして、高圧条件下でCO2を分離できる新規な分子ゲート膜を開発しています。高分子材料を使った独自の複合膜で、大気圧条件ではありますが、世界最高性能である分離係数(500以上)を達成しています。

5.    CCSのISO化への貢献
RITEの活動は研究開発だけでなく、種々の国際協力も進められています。特に、CCSのISO化(ISO/TC265)では、2011年からISO/TC265の国内審議団体として日本を代表する立場にあります。2013年2月、日本は、回収と貯留のワーキンググループの議長(コンビーナ)を務めることになりました。CCSのISO化により、CCSの商用化を制度面からも促進・寄与することになります。

6.まとめ
CCS関連技術開発の中核的研究機関であるRITEでは、CO2の回収、貯留、および削減シナリオに関する研究テーマを扱っており、中でも、CCS商用化促進のため、大きく4つの動きを重点的に進めています。すなわち、コスト面での課題であるCO2回収プロセスの改善、発電所だけでなく製鉄所などの産業設備からのCO2回収の促進、日本の地質に即した貯留技術の開発、そして、回収と貯留のISO化による技術の標準化です。RITEは、これらの技術を通じて世界的なCCSの促進への寄与するものと思われます。

以上
出典:Annual Report RITE Today, vol.08 (2013)
RITE home page: http://www.rite.or.jp/
RITE 平成25年度事業計画書、予算書
RITE プレスリリース CO2回収技術の商用化, 2013年10月3日