日本政府のCCS関連の動き (2014年度予算案)

Organisation: Global CCS Institute

1. CCS関連の予算案の概要

現在、日本では通常国会が開かれ、2014年度予算案が審議されています。主な議論は、アベノミックスの経済施策、地球温暖化防止策を見据えたエネルギー政策、少子高齢化に対する福祉政策などです。その中で、CCSは重要なエネルギー政策のひとつとして取り上げられ、経済産業省と環境省からリリースされた予算案に次のような施策が見られます。

資源およびエネルギー関係の施策

経済産業省は、資源・エネルギー関係の施策として、「エネルギー最先進国」の実現を掲げ、石炭火力発電の高効率化や再生可能エネルギーの大量導入を通じたエネルギー源の多様化を目指しています。その中で、高効率火力発電の開発と活用加速化が重要なテーマとして位置づけられ、CCSの実用化が取り上げられています。その額は113億円となっており、これは昨年度(126億円)と同レベルの値であり、引き続き資金を投入してこの分野を推進する考えであることが分かります。また、グローバルな温室効果ガス削減に貢献する外交戦略として、二国間オフセット・クレジット制度に基づき、日本の高い技術を相手国に普及させる費用も取り上げられています。

温室効果ガス80%排出削減に資するCCS

環境省は、2050年温室効果ガス80%排出削減を実現するため、CCSの導入に早急に目途を付ける必要があるとしています。そのための予算として、新らたに12.5億円の計画を策定しています。この計画では、沖合域を含めた周辺水域でのCO2貯留適地調査とそれに不可欠な輸送システムを検討し、3年後からはその実証試験を行う計画です。日本は山がちな島国であり、陸域は広くはありません。また、沿岸域はすでに種々の利用が進んでいます。そこで、沖合域を含めた水域も検討することで、実用化を加速させることができると考えられます。

2.CCSの実用化に向けた主な事業

日本政府が進めようとしている具体的な事業案について説明します。

苫小牧CCSプロジェクトへの支援

経済産業省の案では、北海道の苫小牧でのCCS実証プロジェクトに85億円が割り当てられています。この事業は、総額約500億円の計画で2013年から始まりました。現在はプラント建設中であり、その後実証試験を含め、トータル4年間推進される計画です。

新規CO2貯留サイトの特定

2014年度から新たな事業も取り上げられています。その一つに、国内におけるCCSの実用化に向けてCO2貯留地点を特定する調査があります。これは、経産省と環境省が連携してなされます。CO2貯留の適地に関する地質調査はこれまでにもなされていましたが、実用化へ向けて更に詳細な調査が求められており、更に、大規模な(大容量の)貯留地点を考えるならば、沖合域を含めた周辺水域の海底での貯留も重要となってきました。

沖合貯留地点への輸送

沖合域の貯留地点の調査だけでなく、そこへ船舶を使ってCO2を輸送するシステムも検討されます。この構想は、東京大学の尾崎教授の研究チームが考案され、2011年からは2年間に亘ってGlobal CCS Instituteのプロジェクトとして、日本のメンバー企業(千代田化工等)が共同で検討されたものです。今後は、日本政府がこれを積極的に支援する計画です。Global CCS Instituteを通じた日本とオーストラリアの連携事例の一つと言えるでしょう。

我が国のシャトル船を利用したCO2輸送・貯留システム

かつて欧州でもCO2を沖合の海上施設まで船舶で輸送する構想は検討されましたが、日本の構想は、沿岸部に位置する複数の発電所(CO2回収施設)から沖合の複数の貯留地点に、比較的小型のシャトル船で繰り返し輸送するというシステムです。シャトル船に圧入設備を備えることで貯留地の洋上設備を省略、小型タンカー(3,000ton級)の採用で発電所側のCO2タンクも小型化を図るなどの工夫により、複数の回収・貯留地点にフレキシブルかつ低コストで対応できる、拡張性が高いシステムと言えます。また、貯留地点を沖合に複数設けることは貯留の可能性を広げ、日本以外の国々でのCCSの促進にもつながると思われます。

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