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クリーン・エネルギー未来に重要な炭素回収のための政策支援

2nd February 2020

CCS in the news 日本語版

発行日: 202022

原典 : Power Magazine

 

気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)と国際エネルギー機関(International Energy Agency)どちらの分析も、2050年までにゼロ・カーボン・エネルギー・システムを達成するには発電および産業部門において大規模な炭素回収技術の普及が求められるということを示している。商業規模の炭素回収は一部の産業で数十年の間普及してきており、発電所における商業規模の燃焼後炭素回収レトロフィットの運転は米国およびカナダで成功している。今や、世界は2030年までにーー今世紀半ばの脱炭素化目標達成に必要な経済全体規模を達成するのに十分なーー商業的普及のクリティカル・マスを達成すべく、産業部門全体でのプロジェクト実施を加速・普及させる必要がある。

 

経済全般にわたる普及は可能ではあるものの、官民による投資の増額によってのみ実現可能である。炭素回収の普及により、高賃金の雇用を維持・創出しつつ、他のやり方では脱炭素化の難しい産業を含む重要セクターからの排出を削減することができる。

 

米国の普及拡大における連邦政策の役割

炭素回収における主な課題は技術的なものではなく、公共政策と政治的意思についてのものである。その他の低炭素・ゼロ炭素技術の商業化を育んできたものに匹敵する連邦政策支援のポートフォリオにより、特定産業への炭素回収適用についての投資家およびプロジェクト開発者の不安が軽減され、塩水層地中貯留の拡大が支援され、回収された炭素(二酸化炭素および一酸化炭素)の新市場が育つ可能性がある。

 

炭素回収プロジェクトは資本集約的であり、開発に長い年月を要する。商業経験が数十年あるにもかかわらず、一部のセクター(発電など)における回収技術の大規模適用はまだ比較的最近のことであり、不確実性とリスクを生み出している。炭素回収施設と地中貯留ないし有益利用のロケーションをつなぐために、さらに多くのインフラも必要である。

 

連邦政府の政策は、プロジェクトおよびインフラへの投資増額に対する梃入れにおいて重要な役割を果たし、イノベーションに拍車をかけ、費用を低減する可能性を持つ。また、回収された炭素を有益利用する新興産業を支援できる可能性もある。早期の商業的普及にインセンティブを与えることは、炭素排出がプロセスの化学反応につきものの工業プロセスなど、すぐに使える排出削減代替手段の無い産業において、特に重要である。

 

超党派支援と複数部門による関心の増加

幸いなことに、議会においては両党の指導者らから際立って幅広い関心が寄せられ、米国産業活性化の基盤となった2018年の炭素回収用の45Q税控除改正・拡大の成功をベースとして、炭素回収を支援する政策に取り組む指導者らが増えてきている。2019年5月、炭素回収連合(Carbon Capture Coalition)(グレートプレインズ研究所(Great Plains Institute)により招集)が、経済全体にわたる普及の達成に必要な政策ポートフォリオの概要をまとめ、同連合における70以上の企業、組合、非政府組織のコンセンサスを反映した “Federal Policy Blueprint (連邦政策計画)” を発表した。進展を示すものとして、以下のとおり、 45Qをベースに複数の超党派法案が議会に提出されている

 

■ USE IT法 (Utilizing Significant Emissions with Innovative Technologies(革新的技術による炭素排出の大量利用法))。炭素利用及び直接空気回収技術の研究・開発・実証に対する連邦政府支援を拡大し、パイプライン・インフラの計画策定・サイト選定・許可付与の合理化を目指す。

■ Carbon Capture Modernization Act(炭素回収近代化法)。既設石炭火力発電所の炭素回収レトロフィットがインセンティブを得られるようアクセスを改善するための、セクション48A税控除を改正。

■ Carbon Capture Improvement Act(炭素回収向上法)。発電所及び産業施設に導入される炭素回収機器の資金調達をするための免税民間活動債利用を許可。

■ Fossil Energy Research and Development Act(化石エネルギー研究開発法)/EFFECT(Enhancing Fossil Fuel Energy Carbon Technology)Act(化石エネルギー炭素技術向上法)。炭素回収・利用・除去・地中貯留の進展を目的とした、連邦政府の研究・開発・実証及び連邦レベルでの設備一新努力に対する資金提供の増額。

■ LEADING (Launching Energy Advancement and Development Through Innovations for Natural Gas) Act(天然ガスのイノベーションを通じたエネルギー向上・開発の立ち上げ法)。EFFECT Actを補完し、天然ガス施設における炭素回収研究開発の増進を支援するための連邦プログラムを設置。

■ Financing Our Energy Future Act(国内エネルギー未来のための資金調達法)。その他の低炭素・ゼロ炭素エネルギー技術と共に炭素回収・利用プロジェクトを含めるよう、マスター・リミテッド・パートナーシップの適格性を広げることにより、プロジェクト資金調達を支援。

■ Clean Industrial Technology Act(クリーン産業技術法)。 産業排出削減技術を開発・普及させ、それらの技術の商業利用に技術支援を提供するための連邦政府プログラムを設置。

 

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