CCS-世界の現状

CCS-世界の現状

二酸化炭素( CO2 )回収貯留(CCS)は、地球規模の温室効果ガス排出量の削減に不可欠な役割を果たす。国際連合気候変動に関する政府間パネル(United Nations Intergovernmental Panel on Climate Change)による勧告に従い、2050 年までに予想される気温上昇を 2℃に抑えるレベルで大気中の温室効果ガス濃度を安定化させるためには、低炭素技術のポートフォリオの一部として CCS が必要となる。

CCS 業界にとっての具体的な課題は、一連のチェーン(すなわち、大規模な点排出源からの CO2 回収、 CO2 圧縮、適切な貯留サイトへの輸送及び圧入又は恒久的な排出量削減に結びつく利用)を商用規模で実証することである。

進捗状況

現在、世界市場では12件の大規模プロジェクトが操業中であり、これに続いて今年前半に1件、後半に1件の操業開始が見込まれている。操業間近のこれら2件のプロジェクトは北米に位置し、発電所を対象とした初めての大規模プロジェクトであるという点で特に重要である。

もうひとつの重要な進展は、鉄鋼部門における大規模CCSプロジェクトが‘実施’すなわち建設段階に入ったことである。このプロジェクトは中東で実施され、この結果(上記の発電部門向けの2件を含めて)建設段階のプロジェクトの数は9件となった。

建設段階に入る大規模CCSプロジェクトが増え続けるという兆候が見られる。総計で年間1千万トン- CO2 の回収量となる6件のプロジェクトが開発立案の進んだ段階にあり、2014年中に最終投資判断がなされると見られる。米国のLake Charles CCS Project、NRG Energy Parish CCS Project、およびTexas Clean Energy Project、中国のYanchang Integrated Carbon Capture and Storage Demonstration ProjectおよびSinopec Qilu Petrochemical CCS Project、並びにオランダのROAD Projectである。

今後の課題

多くのプロジェクトは、より長期の気候変動政策及び/若しくは将来見込まれるカーボンオフセット市場に対応するため又はこれらを見込んで、CCS に着手している。これは明るい兆しである一方で、特にプロジェクトが EOR やその他いずれの収益源も利用できない場合に、ビジネス事例を開発するのは困難となる

貯留サイトの特徴として、5~10年以上の長いリードタイムが必要であることが挙げられる。積極的な貯留評価をまだ開始していないプロジェクトは、2020 年までの操業が困難となる可能性がある。

プロジェクト提案者は、潜在的な課題を特定及び緩和するため、市民関与手法の見直しを継続的に行う必要がある。CCS を実証し展開するためには、炭素価格というシグナルを含む、実質的でタイムリーかつ安定した政策支援が必要となることを明確に示している。

CCS に関する法規制は、継続的に相当なペースで進展し、いくつかの国では各々の枠組みとなる法律に関する作業を完了させ、さらには委任立法及びガイダンスの施行を開始している。

前進のために必要なアクション

究極的には、国際社会はCCSの普及が遅れればそれだけ、費用は増加するということを受け止めるべきである。2020年までに電力セクターが回避した1ドル相当のクリーンインベストメントは、2020年以降には4.3ドルの追加的な費用として必要となる。電灯をともし、発電機が石炭やガスを燃やし続けると、大気中に蓄えられた二酸化炭素の量(毎年蓄積される排出量)は、増加の一途をたどる。もし私たちが全力を尽くして気候変動と戦うのであれば、この先数10年にわたりCCSが CO2 の排出量を制限する上で不可欠な役割を果たす、ということを事実として認識すべきである。