「Japan CCS Forum Technical Seminar – CCS バリューチェーンにおける3方式の比較検討 -」

「Japan CCS Forum Technical Seminar – CCS バリューチェーンにおける3方式の比較検討 -」

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3月4日に開催いたしました「Japan CCS Forum Technical Seminar – CCS バリューチェーンにおける3方式の比較検討 -」へ多数の皆様のご参加を賜り誠にありがとうございました。

本会合の講演資料,録画および、会合中にいただいたご質問への回答はこちらのサイトにて公開しております。

 

 

 

 

<会合概要>
会合名: 「Japan CCS Forum Technical Seminar – CCS バリューチェーンにおける3方式の比較検討 -」
日程: 2024年3月4日(月)16:00-18:00 JST(セミナー)、18:00-19:00 JST(ネットワーキング)     現地受付開始 15:30
主催: グローバルCCSインスティテュート(GCCSI)
後援 : (独)エネルギー・金属鉱物資源機構 (JOGMEC) (一財)カーボンフロンティア機構 (JCOAL)
(公財)地球環境産業技術研究機構 (RITE) 日本CCS調査(株) (JCCS)(五十音順)
会場: AP虎ノ門 11階 会議室 B
東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル(日本酒造虎ノ門ビル) 11F
会合形式: ハイブリッド形式(現地参加、ZOOMウェビナーによる配信)
定員: オンライン参加および、現地参加:70名限定
会合言語: 日本語、英語(同時通訳有)
参加費: 無料
参加登録: リンク

 

<開催目的>
グローバルCCSインスティテュートは、例年Japan CCS Forumを開催し、世界のCCSに関連する様々な情報を発信してきたが、このたび、CCSバリューチェーンに関連するさまざまな技術や各ステージにおける特定の課題に焦点を当て、個別に情報共有および議論の場を提供することにした。
インスティテュートの旗艦報告書である「Global Status of CCS 2023」によると、2023年 7 月現在 、世界全体で、約115のネットワーク型CCSプロジェクトを確認しており、さらに拡大傾向にある。日本においても2023年6月JOGMECにより選定された先進的CCS事業7件中、船舶輸送は4件を数える。CCSネットワークでは共通のインフラを共有することで規模の経済効果がもたらされ、許認可のタイムラインを短縮でき、開発と操業のいずれの段階においても効率化を図ることができる。CO2 ネットワークが勢いを増す中で、液化CO2(LCO2)の船舶輸送技術を含めたCO2の輸送バリューチェーンが発展し、成熟しつつある。船舶での液化CO2輸送が必要とされるCCSプロジェクトでは、現在①低温低圧(LP)②中温中圧(MP)③常温昇圧(EP)と、温度・圧力が異なる3つの方式が検討されている。比較的少量のCO2を短距離輸送する案件が多い欧州と大容量を長距離輸送する傾向の強いアジア域の案件で求められる要件は異なるため、各個別案件毎に最適解も異なり、将来的に上記3方式がいずれも共存するシナリオが考えられる。今後各CCS案件における詳細検討では液化・一時貯蔵・輸送・圧入の各プロセスの個別検討ではなくバリューチェーンを通じた全体最適の観点での検討深度化が必須であり、第一回テクニカルセミナーでは、船舶での液化CO2輸送についてCCS バリューチェーン全体を通じて、3方式の定性的、定量的比較検討を実施した、千代田化工建設株式会社、日本郵船株式会社、Knutsen NYK Carbon Carriers AS社、及び世界中のCCSプロジェクトでコンサル業務を提供されているPace CCS 社よりご登壇いただき、参加者と本テーマについて議論を深めていく。

 

<開催目的>
1.  LP(低温低圧)/MP(中温中圧)/EP(常温昇圧)方式の船舶輸送方式の紹介
2.  LP(低温低圧)/MP(中温中圧)/EP(常温昇圧)方式のCCS バリューチェーンを通じた比較検討結果の共有

 

<暫定プログラム>
開始
(日本時間)
プログラム 配布資料
<録画>

 開会宣言
グローバルCCSインスティテュート
日本事務所 村上泰郎

 

16:05 オープニングスピーチ
千代田化工建設株式会社
執行役員
櫻井 公穂

 

日本郵船株式会社
執行役員
横山 勉

 

16:10 講演1
「液化CO2の3方式紹介~CCSバリューチェーン構築に向けた第三のオプション~」
Knutsen NYK Carbon Carriers AS CV 資料
CEO
Anders Lepsøe

 

16:40 講演2
「LP(低温低圧)/MP(中温中圧)/EP(常温昇圧)方式のCCS VSを通じた比較検討結果」 CV 資料
千代田化工建設株式会社
技術本部
ガス・LNGプロセス設計部
部長
玉 川 淳

 

日本郵船株式会社
グリーンビジネスグループ グループ長代理 CV
六呂田 高広

 

17:20 講演3
「Design and Operation of CCS Networks with Shipping: A Full-Chain View」 CV 資料
Pace CCS
Managing Director
Matthew Healey

 

17:40 質疑応答
17:55 セミナー閉会
18:00 ネットワーキング
19:00 中締め 閉会

 

<会合中にいただいた質問への回答>

 

質問 回答
Q1

EPの運転条件は外気温より低い条件であるが再液化装置は必要か?

 

 

 

A1

EP方式下でのBORはLNGを取り扱う際に見聞きするBORの数字感より格段に小さく、再液化装置は不要と考える。
陸上の一時貯蔵のタンクについてEPではCTCを採用するが、現在の想定ではCTCは建屋の中に設置し建屋を空調により温度管理することとしている為再液化装置は不要としている。この考えはEPが他方式と比較してタンク内運転温度と外気温の差が小さくBOG発生量が小さいことに基づいている。

Q1

船のタンクはEPの重量が他方式より大きく燃費で不利ではないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A1

船の航行状態は大きく満載状態とバラスト状態に分けることが出来る。

満載状態
貨物比重が低い分満載状態での排水量はほぼ同じなので、体積ベースの燃費はほぼ同じとなりうなる。但し、貨物CO2トンあたりの燃費で見ればLPが優位(≒ EPは一回あたりの輸送量がLP比較で少なくなるため年間で同量輸送するためには航海数を増やすもしくは船型を大きくする必要ありEPの方がLP比較で総燃料消費量は増える)。

バラスト状態
プロペラを没水させるまで海水で船体を沈める必要あり、有意な差は出ない。
発電機サイドでは再液化装置が不要な分、EPが優位。

PJのトータルで評価する上では、案件毎の運航条件、達成できる荷役時間等により影響の現れ方が変わってくるが、Value chain全体で評価すると、船舶輸送の燃費の差は大きな違いにはならないと考える。

 

Q3

液化CO2密度差よりEP方式では輸送船の容量を大きく設定しているが、これにより他方式と比較して水深の制約が出てこないか?

 

 

 

 

A3

同容積の船舶を比較した場合、タンク自体の重量がLPよりEPの方が重いのは事実だが、液密度の小さいEP条件では、貨物の重量が軽く、タンクと貨物の重量は同等程度になる。よって、船型にもよるが、満載条件での排水量はほぼ同じであり、喫水への影響はないと考える。

案件に応じて船の要目は柔軟に設計可能であり、スタンダードのない黎明期こそフレキシブルに設計提案が出来る点はEP船の一つの強みだと認識している。

 

Q4

球形陸上タンクについて現地での工期がConcernであることは理解したが、一方でCTCの製作期間は全体工程に対して影響はないのか?

 

 

 

 

 

 

A4

CTCは現地工事工程に合せて搬入することになるが、納入スケジュールがタイトな場合は、複数の製作会社にて製作することもでき、全体工程への影響は回避できる。但し、輸入の場合、圧力容器に対し、指定外国検査機関による検査が必要であり起用工場の精査が必要。
EPで採用するCTCタンクは工場で製作した後に現地に運んで据え付けることになるので製作工程を現地土木工事などと並行して実施することができる点が工期が長くなるリスクが小さくなるポイントと考えている。また大量のCTCを製作するCapabilityについては限られたタンクメーカーでなくミルメーカーなど複数の製作拠点の確保が可能と考えているので影響がないとしている。

 

Q5

CTCの陸上タンクはカセットを敷き詰める想定と理解したが、シリンダーのメンテナンスについてはどのように考えているか?

 

A5

圧力容器となるため、定期的な開放点検は必要。CTC外面に断熱材はなく、運転中も目視点検は可能。
多数のシリンダーの検査を行うための新技術の適用(ロボ)も視野に入れて検討中。

 

Q6

EP方式の場合のローディングアームの技術的課題は無いか?

 

A6

現時点で問題ないと認識している。

 

 

Q7

EPで”実績無し”と整理すると、EPが選択肢として取り上げられないのでは?

 

 

 

 

A7

CO2の取り扱い量は、従来の産業利用向けから環境の観点からCCSを見ると需要が桁違いに大きく、大量輸送と経済性が求められてくる中で、レギュレーションサイドと技術開発と同時並行で議論が進んでいる。何をもって信頼のおける実績とするかの議論は厳密には難しい。
現行IGCコードは可燃物の貨物物性を前提としており、CO2を扱って経済性を追求する上では改変すべきという議論もある。

 

Q8

CTCタンクの建屋の建築基準法はあるか?CO2は危険物扱いで何かしら工夫は必要なのではないか?

 

 

 

 

 

A8

危険物貯蔵の場合では建屋の放爆構造の要求はあるが、CO2は危険物ではなく規定上は要求されない。但し、基本的に構造として内圧が上昇した場合圧力を逃がせるように危険物倉庫のような放爆構造に倣うものと考える。
又、工業地域/工業専用地域以外の地域での建設は建築基準法上数量の規定がある為、現実的ではない(準工業地域でも35t迄)。
なお、近隣に危険物製造所、屋内・屋外貯蔵所、屋外タンク貯蔵所がある場合、液化ガスタンク設備とこれらの保安距離の規定はある。しかし、これらの規定はCTCにかかわらずどの貯蔵法でも同一でCTC特有なものではない。

 

Q9

CTCはどこで製造するのか?

 

 

A9

CCS Value Chainの構築のためにはさらなるCTC製造コスト低減は必須であり、輸送コスト・ロジも含め最適な製造拠点を検討中。
極東では国内を始め韓国・中国などを検討中。

 

Q10

定量比較の際、LP/MP方式ではType-Cタンクではなく球形タンクが前提として用いられているのは何故か。

 

 

A10

一時貯蔵用タンクに関するご質問との前提で回答いたします。欧州ノーザンライツプロジェクト同様に圧力容器型タンクも考えられるが、球形タンクと比較すると最大容量が小さくなると見込まれ本検討では球形タンクを検討ベースとしている。

 

Q11

CO₂のパイプライン輸送の際にも、不純物は問題となってくるか。

 

A11

問題となり得るが、パイプラインのデザイン等、更なる検討が必要である。

 

Q12

CTCの実績についてお伺いしたく、実績のある最大量はどの程度か。

 

 

A12

開発実績という点では、最大80,000m3クラスの輸送船の概念設計を完了している。
運用実績という点では、ノルウェー・ハウゲスンにてCTCの実証設備を運用中であり、12m3の液化CO2を一度に取り扱っている。

 

Q13

Pace CCSの発表で、EPではCO2純度が95%だが、これでも問題ないとのこと。CCSをする場合CO2純度が相当高くないといけない、という話を聞いたことがあるが、CO2純度に関して、もう一度説明していただきたい。

 

 

A13

CO2の物理的特性からEPの温度、圧力条件であれば不純物のCO2への溶解度はLPやMPの温度圧力条件よりは高い。
EP方式に於ける実際のSpecificaton はCCS Value Chain全体を通じて、案件毎に見ていく必要があるので95%がすべて適用可能というわけではないがLP/MPより許容度が高いのは定性的事実。

 

Q14

「CO2は廃棄物であり、輸送プロジェクトは高価となる」とのことだが、その高価さの根拠と、比較の対象が開発中のCO2船舶プロジェクトしか存在しない場合どのように評価するかについてコメントしていただけるか。

 

A14

現状稼働しているCCS案件の大半はEORであり、船舶を伴うCCS案件は現在検討段階にある。CO₂自体が貨物として価値がなく、事業者にとって輸送すること自体は価値を生まずにコストとしかならないという意味で”expensive”な事業は避けて出来る限り経済性を追求することがCCSの社会実装には不可欠となる。

 

Q15

船舶によるCO₂の輸送とパイプラインによる輸送について、3方式における定量比較を示していただくことは可能か。

 

 

A15

現状3液化方式でのCO2の船舶輸送とパイプライン輸送の比較結果は有しておりませんが、IPCCの報告書によるとCO2船舶輸送の損益分岐点は1000km。 日本では損益分岐点は200-300kmと報告されている。本studyのベースは1500km以上の輸送を想定しており、これらの情報から船舶輸送は合理的な輸送方法であると考えられる。

 

Q16

CO2は輸送段階では液体相となるため、圧入の際も液体相とするのが自然だと考えていたが、ガス相にポンプで加熱して注入されるとのこと、このケーススタディでは、注入相の決定は何によって規定されているか?

A16

圧入条件(圧力)は貯留層の状態に依存し、また圧入時の温度は凍結やハイドレート生成を避けるために0℃以上である必要があると考える。従って、CO2は通常0℃以上の超臨界状態で圧入される。

 

Q17

本発表のコスト試算において,回収済みCO2は未圧縮を想定したものか。圧縮済みCO2を液化する場合の動力とコストの検討はいかがか。

 

A17

本検討では燃焼排ガスからのCO2分離回収で化学吸収法を想定しており、回収CO2は大気圧に近い状態。本前提の場合はCO2分離回収及び液化全体で見た場合に必要なコンプレッサー動力・コストは同じと考えられる。

 

Q18

既存の多くのケースでは、輸送や注入に圧縮機が使用されています。船舶輸送において、圧縮機を使用して注入することには利点があるのか?(CO2が超臨界条件に変換されることを考慮して)

 

A18

本検討では、貯留層への圧入はDense PhaseでのCO2を想定しています。圧入に必要な電力を低減するためには、コンプレッサーよりもポンプ圧入の方が優れていると考える。従い液化CO2によるCO2大量輸送を考慮する場合圧入はポンプで行う。

 

Q19

国内でEPを導入するうえでの法律面での課題はあるか。

 

A19

国内でEPを導入する上で法律面での課題は特段ないものと考えている。

 

Q20

EP方式のときの腐食性をどう考えているか。

 

 

 

Q20

通常、酸を形成する可能性のある不純物は、液化CO2貯蔵タンクの上流設備で処理される。LPやMPと比較して、EPでは酸成分のCO2への溶解度が高く、腐食リスクは相対的に低いと考えられる。もちろんどの条件においても、腐食リスクは適切な不純物処理によって低減することができる。

 

Q21

Injection前の加温で海水を使えない理由は。

 

A21

海水が利用でき海洋環境に制約がなければ、海水をCO2の熱媒体として利用することは可能。

 

 

<本セミナーの講演内容に関する今後のお問合せ先>

千代田化工株式会社

 

GX営業推進部
m-cnbd@chiyodacorp.com
Knutsen NYK Carbon Carriers AS

 

Commercial Project Manager
松尾知樹
tma@kn-cc.com
日本郵船株式会社

 

グリーンビジネスグループ グリーンビジネス第三チーム
NYKJP.Green.Business-G.No3.Green.Business-T@nykgroup.com
関連情報:

千代田化工建設株式会社

2024年1月31日付プレスリリース

「二酸化炭素の液化・一時貯蔵・輸送の定量的な比較検討を実施 ~エンジニアリング会社と海運会社の知見を融合~」:リンク

日本郵船株式会社

2024年1月31日付プレスリリース

「二酸化炭素の液化・一時貯蔵・輸送の定量的な比較検討を実施~エンジニアリング会社と海運会社の知見を融合~」: リンク

Knutsen NYK Carbon Carriers AS

2024年1月31日付プレスリリース

「Chiyoda, NYK, and KNCC Conduct Quantitative Comparison of CO2 Liquefaction, Temporary Storage, and Transportation

— Combining Engineering and Shipping Expertise — 」:リンク

 

 

 

<本会合に関する連絡先>
グローバルCCSインスティテュート日本事務所連絡先メールアドレス:Japan.Events@globalccsinstitute.com

 

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