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先駆的CO2回収プロジェクト、操業休止となるも豪州での努力は継続
2nd August 2020
発行日:2020年8月2日
注目されてきた米国テキサス州のPetra Nova(ペトラ・ノヴァ)CO2回収施設が閉鎖されるも、支持者達が豪州で同技術を開発しようとするのを思いとどまらせるには至っていない。
豪州の納税者達及び産業は、世界で最も有名な米国のCCS施設が閉鎖されても、採油量を増進するために温室効果ガスの回収努力を推し進めて行く。
ニューヨーク証券取引所に上場されている電力会社であるNRG Energy社はAustralian Financial Review紙に対し、テキサス州にある同社Petra Nova CCS施設について、財務実績の不振を理由に操業休止したことを認めた。
Petra Novaは、CCSがどのように商業環境で石炭火力発電所からの排出削減を可能にするかを示す例として、豪州政治家達が取り上げて来たものである。
Josh Frydenberg豪州財務相は、エネルギー相だった2017年、同施設で撮影したユーチューブ・ビデオの中でPetra Novaについて「心躍る(exciting)」と表現していた。
しかし、Petra Novaは主に2014年以降の石油価格下落により、一度も商業的に成功することはなかった。
Petra Novaは、テキサス州にあるNRG社WA Parish(WAパリッシュ)発電所から排出されたCO2の一部を回収した後、それを129km離れた油田にパイプライン輸送し、採油率を向上させるために地下に圧入した。
このモデルはPetra Novaに、電力販売と石油販売という2つの収入源をもたらしたが、双方共に利益を上げるほどではなかった。
「石油価格が下落した今春始め、我々はPetra Novaの操業及びWest Ranch(ウェスト・ランチ)油田へCO2供給を停止した」と、NRG社は木曜日(7月30日)に述べた。
「CO2回収施設は、経済状況が好転した際に再稼働出来るよう、操業休止状態に置かれている。」
この操業休止に先立ち、NRG社はPetra Novaに対して2016年に1億4,000万米ドル、更に2017年に6,900万米ドルの減損をそれぞれ計上した。
Petra Novaに係る借入契約も、2019年に不履行となった。
NRG社は、CO2を回収するために通常必要とされた電力は現在、テキサス州の電力網に販売されていると述べた。
「Petra Novaのコジェネ施設は、テキサス州の夏期電力需要を賄うのを助ける追加エネルギーの供給に利用出来る」とNRG社広報担当者は述べた。
Petra Novaの命運は、採算性を確保するために石油増進回収に依存するCCSプロジェクト(回収したCO2を「利用」すると認識して、しばしばCCUSと呼ばれる)に、低石油価格が提起する課題を浮き彫りにしている。