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投資家のリスク最少化はCCSにおいて極めて重要

6th July 2020

発行日:202076

原典:Carbon Capture Journal

 

Haskayne School of Business(カナダ・ハスケイン・ビジネス・スクール)の研究者が、カナダ・アルバータ州及びメキシコのプロジェクトに関する法的枠組の影響を研究

 

メキシコが低炭素経済に向けて動いている中、カナダ・アルバータ州の包括的なCO2に関する法的枠組がメキシコの温室効果ガス削減に役立つ可能性があると、カルガリー大学(University of Calgary)の研究者が述べた。

 

「アルバータ州がCCSサイトの開発と規制に係る経験をメキシコと共有するのは自然な結び付きだ」と、Faculty of Law(法学部)Haskayne School of Businessの双方に所属する教授であるAllan Ingelson氏は述べた。

 

双方の国及び地域が直面している法的課題は、最近英国で発行されたEnvironmental Liability: Law, Policy and Practice(環境責任:法律、政策及び手続)に掲載されているIngelson教授の記事の中で概説されている。同論文は、2017年にメキシコと同大学のGlobal Research Initiative(グローバル研究イニシアティブ:GRIの間で交わされた、石油・ガス開発のために同大学の環境ソリューションに関する専門知識を共有するという覚書に触発されたものである。

 

世界最大のプロジェクト

アルバータ州は、油田の生産期間を延長するために老朽化した油田にCO2を圧入するCO2回収・利用・貯留(CCUS)において何十年にもわたる経験を持っていると、Ingelson教授は述べている。この圧入プロセスは、CO2を地下深部貯留層に恒久貯留するだけのために設計されたCCSプロジェクトにも利用出来ると同氏は言う。

 

「メキシコの法律はCCSの面ではあまり進んでいない」とIngelson教授は語る。「同国は、アルバータ州が持つような法的枠組をまだ構築していない。」

 

CCUSシステムの一部として、人間活動によって排出されたCO2のための世界最大容量パイプラインが、このたびアルバータ州で操業を開始した。12億ドル規模のAlberta Carbon Trunk Line(アルバータ州CO2幹線パイプライン)プロジェクトは、スタージオン(Sturgeon)製油所及びレッドウォーター(Redwater)肥料工場から排出されるCO2の約70%を回収する。

 

排出されたCO2はパイプラインを通して240Km輸送され、レッド・ディア(Red Deer)近郊にある老朽化した油田に圧入及び貯留されるが、このシステムは少なくとも年間1.8メガトンのCO2を回収及び貯留すると見積もられており、それは乗用車339,000台分の排出量に相当する。同システムは年間14.6メガトン、すなわち乗用車260万台分以上まで拡大出来る可能性がある。

 

しかし、そのようなプロジェクトからは不法行為の可能性―民事責任につながる不正な行為または権利侵害―や法的責任が生じるとIngelson教授は言う。もし民間投資が増加した場合、特にメキシコ及びアルバータ州の双方におけるCCSプロジェクトにとっては、包括的で確実な規制枠組によって促された慎重なサイト計画を通してリスクを明確に最少化することが極めて重要であると同教授は述べている。

 

貯留は「永久」

「我々は基本的にこのガスを永久に貯留するつもりであるという前提の下で、アルバータ州政府が取り組んだ主要課題は『もしCO2の漏出が生じた場合どうするか?』である」と、同教授は述べている。

 

深部貯留層からCO2が漏出し、健康及び財産に被害を及ぼすリスクは低いと見なされている。カルガリー大学の科学者らはアルバータ州ブルックス(Brooks)近郊のサイトでCCSについて現在調査しているが、CCS1960年代から利用されており、安全だと見なされている

 

しかし、わずか合計1%CO2漏出でも地球温暖化に対する対策を妨害する可能性があり、また、そのようなことが起こる可能性は低いものの、高濃度のガスが漏れた場合は、近くの動物や人間を窒息させる可能性がある。その他の潜在的な問題には、地震の誘発が含まれ得る。

 

Alberta Environmental Protection and Enhancement Act(アルバータ州環境保護及び強化法)で説明されている通り、汚染者負担がアルバータ州における一般的な原則であるとIngelson教授は言う。「産業施設を開発及び運営する場合は、施設が引き起こした被害を自分が負担しなければならない」と、同教授は言う。

 

投資家の信用を後押しすることで、アルバータ州でより多くのCCSプロジェクトが開発されるよう、特定の法的枠組が策定されたものの、同州において継続されるそのようなプロジェクトはCCUSに比べてずっと少ないだろうと同教授は言う。

 

CCUSによる石油増進回収は石油生産による追加収益があることから、民間投資家達にとってはより魅力的となるとIngelson教授は述べている。短期的には世界石油価格が比較的低いことから、メキシコにおいてもCCUSがより多くの関心を集める可能性が高いと同教授は言う。

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