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研究により、CCSの水文学的限界が明らかに
11th May 2020
発行日:2020年5月11日
Berkeley College of Chemistry(米国カリフォルニア大学バークレー校化学科)の研究により、CCS実施において水利用が重要検討事項であることが示された。
我々のエネルギーと水のシステムは密接につながっている。気候変動は、カーボン・フリーなエネルギーへの移行や、水の需要が高まると同時に入手可能量が減少する中での節水を我々に求めている。世界の気候目標を達成するために、CCSに対しては、気候変動の緊急性への対処を求める政策立案者、ビジネス・リーダー及び科学者からの注目がますます高まっている。
CCSは燃料燃焼によるCO2排出量を最少化するが、その世界の水資源への影響は広く調査されていない。新しい研究は、水不足が既に問題となっている世界の発電所の約43%において、CCSが水資源を圧迫する可能性があることを示している。さらに、これらの水不足地域に配備された技術が重要であり、新たに登場するCCS技術はCCSが必要とする水消費量を大幅に軽減し得る。
石炭火力発電所等、エネルギー生産施設は、大量の冷却水を消費する。発電所で利用される冷却方法のタイプ(湿式冷却塔、貫流冷却または空冷復水器)が、水消費量に影響を及ぼす。これらの施設にCCSを設置するためには、施設がCCSプロセスで利用するエネルギー分を補う追加エネルギーを生産しなければならない。それに冷却水消費量が加わる。さらに、CCSプロセス自体が、配備されたCCS技術次第で総水消費量を増加させる。
現在世界中で操業されているCCSプロジェクトの大半は、吸収技術を利用している。一般的な吸収材は、CO2に結合し、混合排ガスに含まれる他のガスからCO2を分離させる、アミン基を含む塩基水溶液である。これらの吸収液にCO2を吸収させ、その後、吸収液を再生させるプロセスは、発電所からエネルギーの抽出を要する。大量の吸収液の循環は、蒸発による水分損失をもたらす。他の最先端CCS技術は、固形材料への吸着によって、又は排ガスを薄膜に通すことによって、排ガスからCO2を分離するため、水使用量がはるかに少ない。これらの技術によって、エネルギー負荷と水消費量の双方を削減できる可能性がある。