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米国財務省監視官、数億ドルのCO2回収税控除の不当請求を発見

1st May 2020

発行日:202051

原典:Washington Examiner

 

9億ドル近くのCO2回収税控除が、貯留されたCO2を監視し、報告するという米国連邦要件を遵守していない一握りの企業によって不当に請求されていたと、木曜日(430日)に公表された米国財務省(Treasury Department)の監視官による報告書が明らかにしている。

 

財務省監視官(inspector general)の報告書によると、CO2回収プロジェクトを対象としたいわゆる45Qインセンティブ・プログラムにおける税控除の大部分は10社によって請求されており、それら全ての企業がそれぞれ100万ドル以上を請求しているという。この10社のうち3社のみが、米国環境保護庁(Environmental Protection Agency)によって承認された、適切なモニタリング及び報告プログラムを有していると、報告書には記されている。

 

すでに、一部の民主党議員らや環境保護主義者らは、企業による税控除の悪用によって、現在までのところ主要なCO2回収開発者に数えられる石油会社が、石油増進回収と組み合わせたプロジェクトにこのプログラムを利用出来るようにすべきかどうかが疑問視されていると述べている。そのプロセスを通して、回収されたCO2は、より多くの石油を生産するために、地下に圧入され、そこで貯留される。

 

しかし、一部の環境団体を含むCO2回収擁護者らは、この監視官の報告書は、同プログラムに対していくらかの信頼を植え付けるだろうと述べている。監視官の報告書によると、米国内国歳入庁(Internal Revenue Service)は、要件を満たさない企業が請求した53,100万ドル以上の税控除を却下したという。税務情報は機密であることから、同報告書は企業名を明らかにしていない。

 

監視官による調査を求めたニュージャージー州代表民主党のBob Menendez上院議員は、IRSに対し、過去の税控除悪用について完全な調査の結果が出るまで石油増進回収による45Q税控除の利用を一時停止するよう呼び掛けた。同上院議員は、不当請求された数億ドルに上る税控除は、同庁から「不問とされたままになっている」と付け加えた。

 

「石油・ガス産業が公的資金の優れた管理者でないことは明らかだ」と、Greenpeace(グリーンピース)の気候運動家John Noel氏は述べた。Noel氏は、45Qプログラムにおける石油増進回収部分は終わりにさせる必要があり、また、税控除はCO2の「許可された専用地中貯留にインセンティブを与える」という、本来の目的に立ち戻らなければならないと述べた。

 

「税控除は、それを利用して石油を生産しているいかなる企業にも適用されるべきではない」とNoel氏は付け加えた。

 

しかし、CO2回収支援者は、監視官の報告書は45Qプログラムに欠陥があることを意味しているわけではないと述べている。彼らが述べたところによると、ここしばらくの間、一定額の税控除が却下されたことは把握されていたが、同報告書は、IRSもその役目を果たし、企業に責任を課していることを示しているという。

 

「単に企業数社が税優遇策を利用しようとしたからと言って、その優遇策に何か問題があるということにはならない」と、Cornerpost CO2社社長のKeith Tracy氏は述べた。「それは単に企業が時々脱税を試みるということであり、それは何も新しいことではない。それが発覚した時にはIRSがそれら企業を遵守させるのであり、それは当然のことである。」

 

そして、税控除を却下したIRSの行動は、企業が承認されたモニタリング・報告・検証計画を持つという要件の実施に、IRSが真剣に取り組んでいるというメッセージを産業界に送ることになると、Carbon Capture Coalition CO2回収連合)を率いるBrad Crabtree氏は述べた。現在、45Q税控除を請求している企業はEPAの温室効果ガス報告プログラムの下で報告しなければならない。

 

「ここでは白日の下に晒すのが最善の解決法である」とCrabtree氏は述べた。同氏は、化石燃料会社、労働組合及び環境団体を含むCarbon Capture Coalitionが最近の書簡の中で、財務省及びIRSに対し、企業に「マスバランス」アプローチを利用して貯留されたCO2のトン数を報告するよう要求することで、45Q税控除の「十全性を確保」するよう求めたことを付け加えた。それには、EPAのアプローチの他、IRSが決定する全ての同等のプログラムも含まれる。

 

IRSは現在、税控除の資格を得るべく安全な地中貯留を証明するために企業が満たさなければならない要件についてまとめた提案、及びその他の実施に係る未解決の疑問点について取り組んでいる。

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