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米国電力部門におけるCCUSプロジェクト融資のための政策設計

29th April 2020

発行日:2020年4月29日

原典:Carbon Capture Journal

 

Columbia University’s Centre on Global Energy Policy(米国コロンビア大学世界エネルギー政策センター)の報告書が、CCUSプロジェクトにインセンティブを与える様々な政策形態について注目。

 

報告書は、他の種類の低炭素電力が今日の資本市場と協調して幅広い政策支援を得る一方で、CCUSプロジェクトは、従来型の融資を受けるための十分な政策支援を得られていないと述べている。これは、CCUSの商業電力市場における普及を前進させるために追加的な政策が必要であることを示唆している。

 

著者達は、米国発電業界における幅広いCCUS普及にインセンティブを与え得る政策形態を予測するのに役立つ分析を行った。彼らは一連のオプションを分析し、それらを、伝統的に規制された垂直統合型の投資家所有電力会社(Investor Owned Utilities:IOUs)及び規制当局が承認した契約の下でIOUsに販売する独立系発電事業者(Independent Power Producers:IPPs)という2つの所有/収入構造を持つ、代表的な既存の米国発電所タイプ―超臨界圧微粉炭及び天然ガス複合サイクル―に当てはめた。一般的にプロジェクト・ファイナンス評価で使用される従来型モデルを使用し、融資を呼び込むのに効果的な政策を特定した。

 

米国政府は、エネルギー・プロジェクトをより採算性のあるものにするため、資本インセンティブを通して所有者の費用低減を図る(投資税控除又は加速償却等)、または収入を強化する(生産税控除、差金決済取引または保証された電力契約要件等)という、大まかな2つのオプションを持つ。

 

様々な発電所における政策設計の財務実績は、燃料、発電技術及び所有タイプを基にモデル化された。分析の結果、次の所見が得られた。

 

  • 所有構造の効果:ほとんどの技術経済分析では、全ての施設及び技術における設備建設の工学的情報及びCO2回収に関係する運営費用が提示されるが、回収されたCO21トン当たりの全てを含めた総費用は、資本費、負債資本比率及びその他の資金的要因に応じて大きく異なる。所有の性質及び関連する資金的構造は、CO2回収に関連する総費用に非常に大きな影響を及ぼした。そして、これらの資金的要因はCO2回収装置を付設した発電所の総エネルギー費用及び容量に影響を及ぼす。

 

  • 45Q税控除:米国税法の最近の改正には、CO2を回収、貯留ないし利用する納税者に返金不可かつ譲渡可能な税控除を与える、45Q税控除に関する修正が含まれた。45Q税控除の値は法令によって$/Ton CO2で表されており、石油増進回収(EOR)のために回収及び圧入された1トン当たりの値は、控除が最大レベルに到達した場合、$35/Tonである。削減対策を講じていないガス発電所は、本質的に、削減対策を講じていない石炭発電所よりメガワット時(MWh)当たりのCO2生成量がはるかに少ないことから、トン当たりベースでのCO2回収インセンティブは、ガス発電所において、石炭発電所より効果が弱い。融資可能なプロジェクトを支援するためには、現行の45Q税控除を強化し、全てを含めた総控除値を60-110ドルにする必要がある。

 

  • 資本費インセンティブ:石炭発電所は、ガス発電所よりメガワット時当たりのCO2排出量が多いことから、石炭発電所におけるCCUS付設は、より多額の先行資本投資費を要する。回収率90%の場合、石炭発電所においてはメガワット当たり約180万ドル、天然ガス複合サイクル発電所においては800,000ドルが必要となる。おそらく驚くことではないだろうが、特別償却、マスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)及び投資税控除等の資本インセンティブは、天然ガス複合サイクル発電所におけるCCUS投資と比較して、石炭発電所におけるCCUS投資に不釣り合いなほど大きな好影響を与える。このことは、投資家所有電力会社と独立系発電事業者の両方に当てはまる。

 

  • 収入強化インセンティブ:評価した政策オプションのうち、生産税控除又は差金決済取引のような収入強化及び保証は、最も良い財務及び普及結果をもたらすように見受けられる。そのような手法はまた、投資家、所有者及び運営者にとっても取引面で容易であり、また、より単純な取引構造を持ち得る。それらはまた、支払いがCCSによるCO2排出削減実績に基づくため、明確な公益も提示する。

 

提言

 

既存の発電所を脱炭素化させるための政策設計を検討するにあたって、政策立案者は、CO2回収費用以上のことを考慮しなければならない。好ましい成果を上げるためには、所有構造、燃料タイプ、発電所の効率性及び政策メカニズムを検討しなければならない。政策提言は、石炭発電所とガス発電所のどちらでCO2回収の採用を促進するか、最低総システム費用を確保するか、または最速の脱炭素化可能性を実現させるかによって異なるだろう。

 

将来のプロジェクト・ファイナンス分析には、CO2貯留または輸送インフラの有無、特定の発電所の年式及び効率性、電力市場の地域差、新規及び改修発電所の両方が採用できる急速な技術変化、並びに発電以外でのCO2利用が反映されるべきである。

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