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Aerion社の超音速ジェット機は環境に優しいか? カーボン・ニュートラル燃料とのタイアップは、技術同様、規制改正とイメージ次第
16th July 2020
発行日: 2020年7月16日
原典 : Forbes.com
Aerion Supersonic社が7月8日、大気中から二酸化炭素を吸収する技術を開発しているカナダ企業、Carbon Engineering社の製造する合成ジェット燃料の使用について調査すると発表した際、その根底にあるメッセージは、環境的責任を果たしていると顧客が主張できる超音速ビジネス用ジェット機を同社が作るつもりだということであった。Aerion社は、自社の管理・製造・原料・サプライチェーンのプロセスをカーボン・ニュートラルにすると約束しているが、その本丸は同社の航空機である。
Aerion社は、大陸間ビジネス移動目的で10数名の乗客の贅沢な旅が可能なほぼ無音のマッハ1-プラス輸送機として、AS2航空機が2024年終わりか2025年初頭に運行開始予定だと述べている。
そこで、 Aerion社はCarbon Engineering社と協力し、Carbon Engineering社製の持続可能な合成ジェット燃料の使用可能性について評価を行うことにしている。
バンクーバーに本拠を置くCarbon Engineering社には、投資家の一人としてマイクロソフト社の共同創設者であるBill Gates氏がいる。 Carbon Engineering社は、炭素の直接空気回収(DAC)を専門としている。 2017年以来、同社はブリティッシュ・コロンビア州スクォーミッシュ(Squamish)のパイロット・プラントで、大気中から何トンもの炭素を除去し続けている。
好都合なことに、DACをフィッシャー・トロプシュ・プロセス (一酸化炭素と水素の混合物を液体炭化水素に転換するもの)と組み合わせることで、現在の輸送インフラに利用できる液体燃料が生産される。Carbon Engineering社とAerion社は、これがAS2航空機に使えると考えている。
「Aerion社は、当社燃料がAerion社のエンジン設計に与える潜在的な影響が最も少なく、炭素原単位が非常に低いことから、当社の燃料に関心を持っている」と、Carbon Engineering社CEOのSteve Oldham氏は語る。
Oldham氏が言う低い炭素原単位は、 DACによって空気中から除去されるCO2によって全体的な大気中炭素量が改善する好循環の産物である。その炭素が燃料に転換され、何らかの乗り物で使用されれば、CO2として大気中に還元される。しかし、(大部分電化された) DACプロセスによって、その後それが回収されて、また新たな燃料が作り出されれば、継続的に既存のCO2が再利用される。したがって、Carbon Engineering社によれば、新たな炭素排出はほとんど、あるいは全く生じない。
従来型ジェット燃料の炭素原単位は、平均で90g CO2/MJ (メガジュール)弱であるが、Carbon Engineering社は、同社プロセスを利用して大気中CO2から作られる合成燃料は、10g CO2/MJほどになるだろうと推計している。