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CCSと組み合わせたバイオエネルギーは規模が重要

3rd July 2020

発行日:2020年7月3日

原典:Bio Fuel Daily

 

GCB Bioenergy誌に掲載された、University of Southampton(英国サウサンプトン大学)が率いる新しい研究が、英国全土に広がるBECCS発電所のサイト候補6か所を検証した。それぞれのサイトは、CO2貯留サイトまでの近さ、バイオエネルギー作物(biocrops)の輸送費及び土壌隔離(作物が大気中からCO2を除去するプロセス)や洪水緩和の可能性等、複数の基準において評価された。研究者らはまた、環境面における便益の費用と可能性を取り込むことで福祉価値も算出した。

 

ドラックス(Drax)社のプロジェクトサイトは、生態系サービスの便益を得るにあたって最も好ましい英国サイトの1つと特定された。しかし、1GW規模BECCSは500MW規模のものより環境に対する便益が大幅に少ないというように、これらの便益は規模が大きくなるにつれて低下するため、将来のBECCSは、このNET(Negative Emission Technology:ネガティブ・エミッション技術)のトレードオフとコベネフィットを評価するために、サイト特有の生態系サービス評価が必要となること、また、より小規模な発電所が大規模インフラより好まれることを示唆している。

 

パリ協定の目標達成には正味ゼロ排出になる必要があり、英国は、他諸国と共に2050年までに正味ゼロ排出経済を達成するためにNETの普及を計画している。BECCSは複数の正味ゼロ排出シナリオにおいて大きく取り上げられており、英国気候変動委員会(UK Committee on Climate Change)によれば、最高15GW(年間67MtのCO2を回収)になると見積もられている。しかし、BECCSシナリオを作るために現在利用されているモデルは、BECCSの環境面及び社会面の影響を数値化しておらず、環境についてはほとんど考慮していない。研究者らは、彼らの新しいモデルによってこの制約に対処したと考えている。

 

研究を率いたUniversity of Southampton及びUniversity of California Davis(米国カリフォルニア大学デービス校)のGail Taylor教授は次のように述べている。「この研究の新しい点は、BECCSの環境への影響を地域規模で数値化することに初めて成功しているところであり、長寿命の樹木は土壌炭素及び洪水防御にとって役立つことから、おそらく驚くべきことにBECCSはかなりの好影響を与え得るということを示している。」

 

「しかし、この正味便益は、BECCS発電所の立地に大きく左右され、また、我々の研究では発電所の容量が増加するにつれて一貫して低下している。もしBECCSが予測通り、2050年までに正味ゼロ排出を達成するための英国戦略において大きな役割を担うとすれば、これらは政策立案者らにとって非常に重要な研究結果となるだろう。」

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