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CCUS普及を促進する – 用心深くも楽観的になる時が来たか?
14th February 2020
発行日:2020年2月14日
原典:IEAクリーン・コール・センター-Toby Lockwood 氏ブログ
先週、私はIEAワークショップ「the role of CCUS for a cleaner and more resilient energy sector (よりクリーンでより柔軟なエネルギー部門のためのCCUSの役割)」に出席するため、パリにいた。このイベントは、IEAが近々刊行するEnergy Technology Perspectives 2020(エネルギー技術展望2020年版)―様々なクリーン・エネルギー技術の動向に関する報告書で、前回刊行は2017年-について情報提供することを目的に、産官学各界におけるCO2回収・利用・貯留の専門家及び重鎮を招集したものである。
この最新版は、特にCCUSに焦点を当て、気候モデルにこれほどまで好まれているこの技術を、現実世界においてどのようにソリューションの一部としていくことができるかについて取り扱うとみられる。
ワークショップの議題そのものが、ここ数年でCCUSの優先性がどれほど変わったかを反映していた。CO2回収の新しく、より効率的な方法に関する研究については、いまだに延々と議論が続いているが、業界にとって最も差し迫った問題は、既に準備が整った技術をどのように普及させて行くかである。これは、民間部門がCO2回収又は貯留のどちらかに対して行った投資の見返りを得られるようにする、実行可能で持続的なビジネス・モデルを、政府による政策でどのように作り出すかということに尽きる。ワークショップの午前セッションの1つでは、CO2の輸送及び貯留の共有インフラを確立させた後、排出源からその利用料を徴収するという、世界中で徐々に好まれるようになってきているように見受けられる手法に焦点が置かれていた。
このモデルは、北海の貯留サイトにパイプで圧入する前に、欧州北西部周辺の排出源から船舶でCO2を収集することを目指している、ノルウェーの「Northern Lights(ノーザン・ライツ)」プロジェクトに代表されている。Shell社、Total社及びEquinor社が関わっており、今年最終投資決定を行う予定であり、その直後にノルウェー政府による決定も下される。ノルウェー政府はこのインフラに多額を投資しているが、プロジェクトを運営する企業の投資対効果は、既に契約を結んでいるノルウェーの2か所のプラント以外にもCO2源を見つけることに懸かっているようであり、現在のところ、同地域全体の産業からかなりの関心を獲得しているようだ。「利用費はいくらか」が必然的な質問であり、彼らの目標は2030年までに35-50ユーロ/tの範囲に収めることである。これを賄うため、排出源は政府から何らかの補助金を必要とするものの、これを巡ってはもっと大きな不確実性があるように見受けられたが、大半の案は、英国の「差金決済取引(contract for difference)」制度に似ている。ノルウェーは、ついにこれをやり遂げると決心しているらしく、彼らなら無駄にはしたがらないだろうと思わせるフラッグシップ的な名前をプロジェクトに与えている。我々はまた、オランダPort of Rotterdam(ロッテルダム港)に共有CO2インフラを設置する同様の計画についても耳にしたが、商業支援者及びオランダ政府による最終投資決定は、2020年末及び2021年に下される予定だ。ここでは、貯留ガスの長期責任に対処する保険市場を創出するといった、CCSのもう1つの厄介な問題を解決するための興味深いアイディアもいくつか見られた。いずれのプロジェクトも2024年に操業開始される可能性がある。
差し当たり、今までの希望と失敗の波を経験してきた業界の熟練者が多い中で、CCUSコミュニティのムードは、用心深くも楽観的であると言って良いだろう。 今年のETP (Energy Technology Perspectives)報告書が、この必要不可欠な技術の論証を後押しするにあたって極めて重要な役割を果たしながら、他方でこの技術の普及を促進するために現在利用できる現実的なオプションを政策立案者に理解させることを、私は確信している。