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CO2回収、多くの再注目を集める

4th June 2020

発行日: 202064

原典 : IEA クリーンコール・センター

 

最新の米国石炭火力発電所、CO2回収の利点について探究

Prairie State Energy Campus(プレーリー・ステート・エネルギー・キャンパス)は、米国で最も効率的で、最大かつ最新、最もクリーンな石炭火力発電所の一つである。イリノイ州メリッサ(Marissa)近郊の大型施設(1,766 MW) は、8年前の2012年に稼働開始した2基のユニットで構成されている。このプラントは、Prairie State Generating Company社が運営し、中西部9州に給電する公益企業8社と、同発電所にベルト・コンベイヤーで石炭を供給する近郊の炭鉱所有者であるPeabody Energy社によるグループが所有するものである。

昨年末、CCS市場における三大プレーヤーが、連邦補助金により(約1,750万ドル)、Prairie State発電所に燃焼後CO2回収技術を付設するための 基本設計(Front-End Engineering DesignFEED)調査を行うことが発表された。

この3社は、米国三菱重工(Mitsubishi Heavy Industries (MHI) America)、Kiewit社、 Sargent & Lundy社であり、いずれも、国内最大の稼働中CCSプロジェクトであるテキサス州ヒューストン北西部トンプソンズ(Thompsons)にあるPetra Nova施設の開発と建設に携わっていた。 上記3社はイリノイ大学アーバナ・シャンペーン(Urbana-Champaign)のプレーリー研究センター(Prairie Research Center)と、Prairie StateFEED調査を行なっている。その作業には、Prairie State にある2基のユニットの一つ(816 MWe)のレトロフィットが含まれる。この調査は、昨年 (2019) 10月から202110月まで行われる予定である。基本設計のゴールは、95% CO2除去を達成することである。このプロジェクトは、世界最大の燃焼後CO2回収開発プロジェクトであり、調査完了時には着工を目指している。

その他の注目プロジェクト

2020520日、Flour社が、Minnkota Power CooperativeMinnkota電力協同組合)の「Project Tundra(プロジェクト・ツンドラ)」のFEED調査を主導すべく選定されたと発表した。遡ること4月、DOEが同調査への資金として、ノースダコタ州のEnergy and Environmental Research Center (エネルギー・環境研究センター:EERC) 1,700万ドルを授与した。EERCが獲得した資金とその他の補助金により、同プロジェクトは約4,300万ドルを確保した。このCCSプロジェクトでは、ノースダコタ州センター(Center)にある Milton R Young 発電所に、排ガス流から炭素を除去するFluor社のEconamine FG Plus(SM)CO2回収技術を付設するレトロフィットが行われる。

Milton R Young CCSプロジェクトのコストは、推計13億ドルである。建設が完了してプロジェクトが稼働すると、このプロジェクト (455 MW) CO2排出除去目標を90%とする世界最大の稼働中CCSプロジェクトとなる。完全稼働となれば、同プロジェクトは、20年間で約30億ドルの税控除を生み出す可能性がある。Minnkotaは、ノースダコタ州東部とミネソタ州北西部に135,000の顧客を持つ11の配電協同組合に給電している。

Prairie StateMinnkotaプロジェクト同様、今年はじめ、ニューメキシコ州ファーミントン(Farmington)市も、パートナーであるEnchant Energy社と共に、閉鎖予定であった大型のサンファン(San Juan)発電所 (1,684 MW) CCS技術を付設するレトロフィットの実現可能性調査を行うと発表した。もしパートナーらが資金支援を得られれば、推計10億ドルのプロジェクトが、早くも2023年末には建設開始となる。このレトロフィットによりCO2除去率90%以上が可能となり、同石炭火力発電所は2035年まで運転できるようになるが、さもなければ、2022年末に閉鎖が見込まれている。

より小規模なものでは、テキサス州とニューメキシコ州のパーミアン盆地最大の石油生産者であるOccidental Petroleum社が、カナダのパートナーであるCarbon Engineering社と共に、テキサス州の2カ所のエタノール施設でCO2回収技術を実施する計画であると発表した。

英国の野心的な「ハンバー・ゼロ」計画

全世界の超大型CO2回収開発プロジェクトの頂点に立つのは、英国ハンバー(Humber)地域において精製所や大型化石燃料発電所を対象とした英国の水素及びCCS計画である。 Phillips 66社、Uniper社、Vitol社の VPI Immingham (1,240 MW) 発電所を含むパートナーによるコンソーシアムが、まずは年間最大800万トンのCO2排出脱炭素化能力で、3,000万トンまで目標を強化する潜在能力を持つ、大規模CO2回収及び水素製造プロジェクトである「Humber Zero(ハンバー・ゼロ)」を共同開発する覚書(MoU)をこのたび取り交わした。VPI Immingham発電所で稼働中の3基の発電ユニットのうち2基と、ハンバー(Humber)及びリンゼイ(Lindsay)精製所の選定された処理ユニットにおいて燃焼後CO2回収を行うこのプロジェクトは、一つにまとまって、同発電所の3基目の発電ユニットを駆動させるためのグリーン(再生可能)燃料とブルー(天然ガス)水素燃料の双方を作り出す。その一番の目標は、野心的な政府の「ゼロカーボン」目標をターゲットにしたまま、英国最大かつ最も効率的なベースロード発電施設の一つを運転継続させることである。

(弊日本事務所注;本IEA Clean Coal Centerによる記事の出所は以下のリンクです)

https://energycentral.com/c/gn/carbon-capture-getting-lots-renewed-attention?utm_medium=eNL&utm_campaign=gen_net&utm_content=176600&utm_source=2020_06_02

 

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