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GCCSIメディアリリース:CCSに対する機運の高まりで、世界的な脱炭素化目標に一歩近づく
10th November 2023
発行日:2023年11月10日
国際的シンクタンクであるグローバルCCSインスティテュートの調査によると、CCSは今年も飛躍的な成長を遂げました。今日(10日)発表された世界のCCSの動向2023年版(2023 Global Status of CCS Report)は、世界中でCCSプロジェクトが急増していることを示しており、ここ1年間で102%の増加となる、198か所の新規施設が進行中のプロジェクトに追加されました。世界をリードする気候及びエネルギー・アナリストが、世界排出量削減目標を達成するにはCCSが必要であることに同意していることから、これは気候行動にとって良いニュースです。
進行中のCCSプロジェクトは、施設数及びCO2回収能力の双方において、今までで最高水準にあります。操業中のCCSプロジェクト41件は現在、年間4,900万トン(49Mtpa)のCO2回収能力を持っています。一方、進行中のプロジェクトの合計CO2容量は、2022年から50%増の361Mtpaまで拡大しており、2018年以来最大の伸びとなっています。
グローバルCCSインスティテュートのCEOであるJarad Danielsは、この進歩について次のように述べています。「気候の算数は明白です。CCSは不可欠な気候緩和技術であり、それなしでネットゼロ排出目標を達成することは事実上不可能です。しかし、その算数はまた、過去1年間の目覚ましい進歩をもってしても、我々は、いわばまだ階段の一番下辺りにいるようなものであり、我々の排出目標を達成するためには年間ギガトン(Gtpa)規模に達しなければならないことを示しています。」
確かに、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)や国際エネルギー機関(International Energy Agency)等による信頼すべき分析は、世界的な気候目標を達成するためには2030年までに約1Gtpa、2050年までに数Gtpaの年間CO2貯留量が必要となることを一貫して示しています。
「政策立案者、産業界のリーダー、投資家及び一般市民は全員、気候変動への取組に対して高まる切迫感を覚えており、それが世界中の主要地域におけるCCS普及等の様々な緩和手段の加速を招いています。しかし、気候変動緩和目標を達成するためには、この10年間のCCS普及に対する世界的な投資が、今までに増して迅速に成長していかなければなりません」と、Danielsは述べています。
世界のCCSの動向2023年版におけるその他の主要な結論には、次の点が含まれます。
- 2023年7月31日時点で、操業中の商業規模CCS施設は41か所、建設中は26か所、開発の様々な段階にあるものは325件。
- 2022~2023年、新たに11か国が開発の様々な段階にあるCCS施設を登録した。
- CCS普及は依然として米国が優位に立っており、2023年には73か所の新規施設が進行中のプロジェクトに加わった。英国、カナダ及び中国は施設数を増やし、CCS普及が進んでいる国トップ5を維持した。豪州は現在12か所の施設を開発中である。
- ネットワークは、費用を低減させる規模の経済と、リスクを低減させるビジネス・モデルの相乗効果の双方をもたらすことから、ネットワークを通じたCCS普及が主流となっている。CCSネットワークの進行中の開発は、インスティテュートのデータセットに「CO2輸送及び貯留」施設という新しい産業カテゴリーをもたらした。2023年、このような施設は世界で101か所特定された。
- CCSはまた、27か国の「国が決定する貢献(Nationally Determined Contributions: NDCs)」に盛り込まれたことから、普及を推進するための的を絞った政策の提供や適切な規制の立案まで、公共政策におけるより顕著な主要事項となってきている。
- CCSの資金調達に関する見通しは、政策支援や、価格シグナルを含むその他の要因によって、主要な国・地域において過去1年間で大幅に改善しており、全てはこの機運が今後も続くことを示唆している。これはCCSへの投資、主に株式への投資の大幅な増加につながった。
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