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インサイト : 国際CO2 貯留資源データベース、CCS普及に向けた重要な第一歩

4th August 2020

発行日: 2020年8月4日

原典: グローバルCCSインスティテュート

 

全地球レベルでは、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change:IPCC)も国際エネルギー機関(International Energy Agency :IEA)も、2050年までに正味ゼロまで排出を削減し、経済的に長期的気候目標を達成すべく、CCSが大規模に普及されつつあることを一貫して示しています。

このことを達成するには、排出削減のために、複数ギガトンに及ぶ二酸化炭素(CO2)の貯留が必要となるでしょう。実際、IPCCの気候経路が、2100年までに累積で最大1,200 ギガトン (Gt)のCO2 が貯留されることをモデリングしています。パリ協定目標達成と整合する IEAの 持続可能な開発シナリオ(Sustainable Development Scenario:SDS)では、世界のCO2 貯留量は2050年までに年間2.8 Gtに到達しています。

このレベルの恒久的地中貯留に到達するには、前世紀における石油業界の成長の2倍以上のCCS 普及率が必要となるでしょう。この普及規模を達成する上で肝心要なことは、CO2 貯留サイトの継続的で全地球的な特性評価と開発です。

このたび立ち上げられた国際CO貯留データベースは、このような評価を推進しようとするものです。7月に立ち上げられたこのGlobal Storage Resources Database (国際貯留資源データベース:GSRD) は、今後の貯留資源評価全ての国際的保存庫となり、安全かつ商業的採算性のあるCCUS産業の成長を支援することを目指しています。

このデータベースは、公表されているCO2 貯留資源の商業開発と成熟度について投資家の理解を高め、投資家の信頼を高めることにつなげることで、それを行います。

グローバル CCSインスティテュートとOil and Gas Climate Initiative (OGCI)を代表した Pale Blue Dot Energy社 (PBDE)による協力的取り組みであるGSRDは、13ヵ国における525のサイト候補全体で、IEA SDS気候目標達成に使えるCO2 貯留容量が408.6 Gt存在することを明らかにしています。

現在データベースに入っている525のCO2 貯留サイト候補に関する情報は、12,000 Gtを超える貯留資源候補について評価する6ケ年プログラムの最初のものであるGlobal CO2 Storage Resource Assessment 2019(2019年世界CO2貯留資源評価)から得られています。この評価は、世界で初めて SPE Storage Resources Management System (貯留資源管理制度:SRMS)を利用したものです。

GSRDで評価された国々は、OGCIが提供する6ヶ年の公的リソースに関する第1回目の評価となります。このCCSに特化した制度は、石油資源管理制度と類似した制度を用い、以下のことを目指しています。

  • ●貯留資源を明らかにするための、一連の明確で一貫性のある定義を提供すること
  • ●投資家及び意思決定者のために貯留資源評価における商業的信頼を高めること
  • ●貯留の評価を行う者と業界外の人々のために、明確なコミュニケーションを可能にする単一のターミノロジーを作ること。
  • ●国内・地域内評価における貯留の成熟度に関するベンチマークを設定すること

 

評価結果

評価では、貯留資源開発の差し迫った必要性が明らかにされています。評価された12,267 Gt の貯留資源のうち97%がundiscovered(未発見)」 と見なされてます。これらの資源には、さらなるサイト特性評価、より詳細な分析及び地下データが必要です。貯留資源の欠如(規制の欠如と併せて)については、最近、Global Status of CCS: 2019(世界のCCSの動向:2019年)の中で強調されました。

加えて、この評価では、貯留容量のうちわずか1億600万トン、すなわち評価された全てのもののうち0.001%しか、商業採算性が無いことが明らかにされています。 この低い値は、CCSのためのCO2 貯留サイト開発に対する政策的・経済的制限を反映しています。

初回評価に含まれた13の国と地域は、豪州、バングラデシュ、ブラジル、カナダ、中国、インド、ノルウェー、パキスタン、スリランカ、英国、米国、バルト海であり、ドイツとデンマークの沖合地域も考慮されています。Across the 全525サイトのうち大半が、米国 (132件)に位置しており、以下、英国(87件)、中国 (72件)、カナダ (67件) 、ノルウェー (42件)と続きます。

評価は深部含塩層と石油・ガス田を中心に行われましたが、CO2-石油増進回収(CO2-EOR)事業は考慮されていませんでした。

深部含塩層と石油・ガス田の差異をレビューすると、貯留資源の98%が地層内にあります。油田に存在するのはわずか2%です。世界中の国内評価をレビューすると、この内訳は同等です。たとえば、 米国の2015 Storage Atlas(2015年貯留アトラス) では、地層と油田とが同様のパーセンテージとなっています。

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