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インサイト&コメンタリー:ルーマニアでのキャパシティ・ビルディング・ワークショップ、同国におけるCCS展開の機会と課題を浮き彫りにする
7th April 2025
発行日:2025年4月7日
2025年2月25~26日、インスティテュートとオランダ国営企業EBN社は、インスティテュートのメンバーであるOMV Petrom社の支援を得て、CCSキャパシティ・ビルディング・ワークショップをルーマニア・ブカレストにて共同開催しました。
この招待者限定イベントは、ルーマニアにおけるCCSの状況について理解を深め、欧州のCCSリーダーから学んだ教訓やベストプラクティスに関する知識共有を促進することを目的としたものでした。このワークショップは、インスティテュートとEBN社が2024年9月にギリシャ・アテネで開催し、ギリシャにおけるCCS許可プロセスに関するトピックを掘り下げた同様のキャパシティ・ビルディング・イニシアティブに続くものです。

ブカレストにおけるこの2日間ワークショップには、ルーマニアの政府や政府機関の代表者、民間部門の利害関係者、CCSプロジェクト開発に関与しているその他の地元団体等、地元ルーマニアから80名以上の参加者が集まりました。
ワークショップは、ルーマニアにおけるCCSの現状や、同国におけるこの技術の展開を可能にする環境作りに必要な次のステップに関する議論を円滑に進めるための優れたプラットフォームを提供しました。
ワークショップを通じて、参加者は洞察に富んだハイレベルで技術的な対話に加わり、国内外の専門家が、以下のようないくつかの主要なCCSトピックを解説するのに耳を傾けるチャンスを得ました。
- ルーマニアのネットゼロ・ロードマップにおけるCCSの役割や、この技術が同国にもたらす機会と課題
- CCS展開に向けたルーマニアの国家展望
- オランダ及びデンマークにおけるCCSプロジェクト実施から浮かび上がったベストプラクティス
- ルーマニアにおけるCO2地中貯留の可能性、並びにルーマニア及びその他の国におけるCO2貯留許可プロセスを方向付ける原則
- CO2のパイプライン輸送及びパイプラインの責任の割り当て
- CCSの資金提供機会及びCCSに関連するEU ETS枠組の最近の進展
ルーマニアの石油・ガスに関する既存の専門知識は、CCS展開を前進させる上で強力な基盤となります。ワークショップは、同国の顕著なCO2貯留能力を浮き彫りにし、ルーマニアを東欧における地域ハブ開発における主導的な役割を担う国として位置付けました。
CCSは、ネットゼロへの移行の一環として、ルーマニアに現実的な道筋を提供し、それによって同国が産業を維持しながら気候目標を達成するのを助けることができます。ルーマニアのセメント部門といった地元排出者は、自社の競争力を維持しながら脱炭素化の取り組みを支援する上でCCSが果たし得る重要な役割を認識しており、現在、ルーマニアにおける同技術の前進をめぐる議論を牽引しています。
しかし、参加者は、ルーマニアでCCSの規模を拡大するにあたって、資金調達メカニズムと共に、支援政策及び規制枠組の必要性を強調しました。また、特にCO2の陸上貯留を伴うCCSプロジェクトでは、一般市民の認識も考慮すべき重要な要素として浮上しました。そのため、継続的な対話を奨励し、一般市民やプロジェクトの影響を直接受ける地域社会から提起された懸念に適切に対処し、CCSイニシアティブが最高の環境・安全基準に従って実施されていることを実証することが極めて重要です。
官民パートナーシップは、投資リスクを軽減し、あらゆる開発段階にある欧州CCSプロジェクトを前進させるのに役立ってきました。他のCCS先駆者から学んだ教訓及び北海における画期的なプロジェクトによる顕著な前進は、これらのような今までに類を見ないイニシアティブの前進を支援する上で、国家が極めて重要な役割を担っていることを示しています。
最後に、ワークショップの参加者は、CCSプロジェクトを実現させるにあたってバリューチェーン全体にわたる連携が不可欠であることを強調しました。産業界・政府機関・利害関係者間の対話の促進は、相乗効果を引き出し、CCS展開を推進できる環境を整備するためのプロセスの不可欠な部分です。
キャパシティ・ビルディング・ワークショップ中に行われた建設的な議論は、CCSが、ルーマニアの気候中立への歩みを支援し、同国及びその産業界がネットゼロへの移行に取り残されないようにするための重要な気候緩和ソリューションであることを示しています。
インスティテュートは、政府や企業によるCCSの歩みを支援する準備があり、バリューチェーン全体の対話を促進し、新しい協力の形を推進するために、メンバー及びパートナー組織と引き続き協力していきます。他国におけるワークショップも、現在検討中です。