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インサイト&コメンタリー:2025年上海CCUS技術フォーラム:総括
4th June 2025
トピック: Institute News
発行日:2025年6月4日
2025年上海CCUS技術フォーラム(2025 Shanghai CCUS Technology Forum)は、中国におけるCCUSの進展を浮き彫りにしました。アジアの主要な環境技術見本市であるIE Expo Chinaの一環として4月22日に行われたこのイベントは、中国環境科学学会(Chinese Society for Environmental Sciences)の中国CCUS協会(China CCUS Association)、グローバルCCSインスティテュート及びIE Expo Chinaによって共同主催されました。
ビジネス・リーダー、研究者、技術提供者等400名以上が参加したこのフォーラムは、CCUS展開の拡大に関する見識を交換する主要なプラットフォームとなりました。フォーラムは、中国国内及び世界におけるCCUSの現状の概要から始まり、その後、先端的な技術及び設備、中国におけるCCUS産業の展望、CCUSの資金調達といったトピックに焦点を当てました。
中国におけるCCUS開発の新しい段階
中国CCUS協会によると、中国が30/60炭素目標を発表して以来、CCUS開発は新しい段階に入り、大規模実証は発電部門や石油・ガス部門を越えて、鉄鋼、セメント、化学等、排出削減が困難な部門にも広がっているといいます。同協会は、同国による、一部の石炭火力発電所のレトロフィットのための新しいガイドラインに言及しながら、関連政策手段が、ますます個別の部門に合わせて調整されるようになってきていることを強調しました。インスティテュートの中国事務所は、こうした世界的な進展の状況を説明し、CCUSがより多くの政策的支援を受け、インフラへの公共投資が拡大していることを示しました。
技術革新
技術革新は、フォーラムを通じて主要なテーマでした。中国華能集団清潔能源技術研究院(Huaneng Clean Energy Research Institute)は、世界最大の石炭発電CCUS施設となる予定で、同社独自の先端回収技術を使用する、中国甘粛省(Gansu Province)での中国華能集団による1.5Mtpa規模CCUSプロジェクトの進捗を紹介しました。
その他にも、セメント部門における200Ktpa規模酸素燃焼プロジェクトといった革新や、吸収液技術、海運業向け船上CCS、直接空気回収及び炭素鉱物化における様々な進展が紹介されました。業界のリーダーや専門家によるパネルは、これらの技術が様々な産業状況によってどのように適応されているかを探りました。
業界の展望
CCUSの規模拡大は、部門によって異なる課題とチャンスの双方をもたらします。中国国家能源集団新能源技術研究院(China Energy New Energy Institute)は、アジア最大の操業中の石炭発電CCUS施設である500Ktpa規模の泰州(Taizhou)プロジェクトの見識を共有し、成功は、新たに開発された回収液によるものだけなく、回収されたCO2を大量に利用できる川下ユーザーとの緊密な連携によるものでもあると指摘しました。石油・ガス部門では、国有企業が様々な取り決めを通じて、統合ハブを検討しています。例えば、CNOOC社は、中国で最も工業化が進んだ地域の1つである広東省(Guangdong Province)で沖合貯留ハブを開発するため、多国籍企業と協力しています。
民間部門の関与
民間部門の関与は、CCUSの技術革新の促進に役立っています。特筆すべき例としては、Tencent社のCarbonX 2.0やArcelorMittal社のXCarb® China Accelerator等が挙げられ、いずれも同部門への民間投資の増加傾向を反映しています。リスク・マネジメントの画期的な出来事としては、中国初のCCUS専用保険証券が、中国人民保険集団(People’s Insurance Company of China)によって句容(Jurong)発電所プロジェクト向けに発行されたことが挙げられ、部門特有の要件を支えるために金融商品がどのように調整されているかを明確に示しました。
結論
2025年上海CCUS技術フォーラムは、業界のリーダー、革新者及び世界的な利害関係者を集め、最新動向を共有し、新たなビジネスチャンスを探ることに成功しました。グローバルCCSインスティテュートは、今後もこのようなイベントを開催し、中国における部門を越えた関与と協力を促進していきます。