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米国CO2回収プロジェクト、閉鎖前から問題に悩まされる―米エネルギー省文書
7th August 2020
発行日:2020年8月7日
原典:英国ロイター
米国エネルギー省(U.S. Department of Energy)の報告書によると、米国テキサス州の石炭発電所から排出されるCO2を利用する10億ドル規模のプロジェクトは、慢性的な機械上の問題を抱えており、今年閉鎖される以前から日常的に目標値を達成していなかったようだ。
Petra Nova(ペトラ・ノヴァ)プラントの業績は、地球温暖化を引き起こすガスを回収し、地下に貯留する新たな取り組み、すなわち気候変動と戦おうとしている企業及び政府にとって極めて重要だとされている技術の重要な試験だと見なされていた。
NRG Energy社及び日本のJX石油開発株式会社によるこの共同事業プロジェクトは、米国政府から1億9,000万ドルの助成金を受けている。操業休止にされる以前は、石炭火力発電所からCO2を回収する唯一の米国プロジェクトだった。
エネルギー省が3月にまとめた技術報告書によると、Petra Novaが開始された2017年以来、同施設は367日の機能停止に見舞われている。報告書によると、機能停止日数の4分1以上の原因がCO2回収施設の問題であり、それにプラントの専用天然ガス発電装置の不具合が続く。
同施設はまた、最初の3年間で380万ショート・トンのCO2を回収したが、デベロッパーらが見込んだ460万ショート・トンに届かなかったことから、CO2回収目標も17%ほど満たすことができなかった。
同プラントは、W.A. Parish(W.A.パリッシュ)石炭発電所にある4基のユニットのうち1基から排出されるCO2の33%を回収し、より多くの石油を地上に汲み上げるために利用する目的で、それをパイプライン経由で81マイル離れたWest Ranch(ウェスト・ランチ)油田に輸送するように設計されていた。
NRG社は5月1日に同施設を休止させ、コロナ・ウィルスの蔓延によって引き起こされた石油価格の暴落によって同施設が非経済的になったと述べた。
NRG社はプラントの技術性能についてコメントしないものの、経済状況が好転した際には再稼働が可能だと述べた。
「我々は、既存の石炭火力発電所にCO2回収技術を設置し、設計通りに運用出来ることを実証すべく成し遂げてきた仕事を誇りに思っている」と、NRG社広報担当者Chris Rimel氏は声明の中で述べた。
エネルギー経済・財務分析研究所(Institute for Energy Economics and Financial Analysis)の報告書によると、Petra Novaの閉鎖は、進行中の他のCCSプロジェクトが直面している「深刻な資金的リスクを浮き彫りにしている」という。