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CO2回収とアラム・サイクル

4th June 2020

発行日: 202064

原典 : Energy Central

 

CO2回収能力を持たない先進型の天然ガス発電所と比べてコスト的にも効率的にも競争力を持ちながら、理論的には100%の排出回収を可能とする、新たな天然ガス火力発電所設計、アラム・サイクルを取り入れよう。このサイクルは、ほとんど、ないし全ての水関連コストを回避し、標準型の天然ガス発電所のほんの一部を利用して、全てのCO2 排出を回収し、純化された生成物を分離して販売ないし貯留のためにパイプラインに送り込む。大規模な普及が成功すれば、この技術は、コスト競争力と信頼性のあるクリーンな負荷追従型電力—エネルギー安全保障における究極の理想形―をもたらす可能性がある。このサイクルを採用する一企業であるNET Power社は、テキサス州に現在稼働中の50メガワット(MW)級の実証プラントを建設しており、フルスケールで 300MWの発電所を2022年に稼働させる計画である。

 

しかし、アラム・サイクル—そして、特にCO2回収—にとっての重要な問題は、回収された後のCO2を輸送及び利用においてどうすればよいのかということである。回収されたCO2の多くは、現在、地中隔離されるか、石油増進回収(EOR)に利用されるか、あるいは工業生産の原料として使用されている。回収されたCO2 の産業におけるポテンシャルは、常に拡大している。企業はコンクリートやセメント製造、肥料製造、そしてカーボン・ファイバーなどの耐久性カーボン市場においてまでも新たなCO2利用方法 を開拓している。セメントや肥料は、都市化によってセメント需要が後押しされ、大規模農産業が肥料の需要を押し上げる開発途上国においては特に、重要な産業である。

 

しかし、回収されたCO2の輸送方法は、あいかわらずの問題である。Allam Cycleの推進者は、「プラントは、米国内に既に存在している大規模なCO2 パイプライン・ネットワークに送り出すことができ」、また「アラム・サイクルの広範な採用により、他の地域におけるこのようなパイプライン・ネットワークの開発が正当化され、動機付けられることになる」と 主張している。実際、米国では約5,000マイルのCO2 パイプラインが主にEOR利用を目的として 既に稼働中であるが、それはCCUSの広範な普及を支えるのに十分と言うには程遠い。米国における潜在的なCOパイプライン費用に関する研究では、公的融資が無ければ、パイプライン・ネットワークは実現可能ではないが、100%の政府支援があれば、ネットワークにより年間3,000万トンの回収が可能になることが示されている。さらに、 既存CO2パイプラインの90%以上 が米国内に存在しており、 政府支援が弱く、パイプライン開発経験の少ない国でネットワークを構築することは、はるかに難しいことがわかるだろう。短期的には、このような問題は、この技術を最も必要とする市場においてその実現可能性に深刻な制限をかけてしまう可能性があるのである。

 

David Yellen氏は、大西洋評議会グローバル・エネルギー・センター(Atlantic Council Global Energy Center)のプロジェクト・アシスタント。

 

元記事は大西洋評議会のサイトに掲載

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