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GCCSIインサイト&コメンタリー:2つの開発銀行のCCS信託基金が閉鎖へ-この先どうするのか?

30th March 2022

トピック: Institute News

発行日:2022年3月14日

原典:グローバルCCSインスティテュート

 

クリーンエネルギー大臣会合CCUSイニシアティブ(Clean Energy Ministerial CCUS Initiative)が開催した最近のウェビナーにおいて、世界銀行(WB)及びアジア開発銀行(ADB)からの講演者が、2009年から運営されている両行のCCS信託基金が今後2年以内に閉鎖されることを明らかにし、これらを補充するためにどのような手段を講じるべきかについて質問が相次ぎました。

 

国際開発金融機関(MDBs)は、長きにわたって多数の開発途上国のエネルギー部門転換において重要な役割を果たしてきました。新興諸国をCCUSの開発・実証・普及に参加するように導くことは、それらの国々の低炭素ポートフォリオに関するコミットメントを実現させると共に、持続可能な開発を促進し、生活の質を向上させるという目標に完璧に沿っているため、MDBsにとっても有益なものとなって来ました。また、それは技術的能力の開発、政策策定の指揮、並びにCCUSの受容性と展開を推進する上で非常に有益となるプロジェクトへの出資といったMDBsのユニークな能力によって恩恵を受ける開発途上国にとっても有益です。

 

MDBsは、CCUSプロジェクトを支援するために自由に利用出来る数多くのツールを持っています。たとえば、MDBsは、低開発経済圏への助成金、大規模かつ長期の無利子融資、民間部門の保証や徹底したデューデリジェンスを提供することが出来ます。

 

実際のところ、WB及びADBは、一部の国々においてCCSの知識形成やCCS普及支援において既に重要な役割を担って来ました。現在までに、WBは同行のCCS信託基金から5,500万ドル超の割り当てを行ってきています。また、メキシコ及び南アフリカにおいて法規制面における包括的なレビューを実施したほか、国際金融公社(International Finance Corporation)と共に、ナイジェリアの副大統領府(Office of the Vice President)が主導する同国CCUSプログラムを支援することを最近発表しています。同様に、ADBも2009年以降、キャパシティ・ビルディング活動の実施や中核的研究拠点となる「Centres of Excellence)」の設立等、CCSに注力して来ています。しかし、ADBが運営する信託基金は2022年末に終了するようであり、他方でWBの信託基金は2023年12月に閉鎖される見通しです。両組織にとって、現行の基金の補充または新たな専用のCCS信託基金の設立(おそらくWBの場合は、最近の信託基金改革を受けてこれが当てはまる)は必要不可欠であり、援助資金供与者との年次協議プロセスを開始しなければなりません。

 

幸い、それを可能にする主要な条件の全ては揃っています。2019年のJoint Report on MDBs’ Climate FinanceMDBsによる気候変動ファイナンスに関する共同報告)は、CCSを気候緩和融資に適格な技術に分類しています。また、WBによる最近承認されたClimate Action Plan(気候行動計画)及びADBの2021 Energy Policy Document(2021年エネルギー政策文書)の双方において、主要な緩和技術、特にADBの場合は排出削減が困難な部門にとっての主要緩和技術としてCCSが含まれています。同時に、米国、ノルウェー、日本及び英国等、複数の主要MDB援助資金供与国の国家政策において、CCSの開発及び普及が支持されています。

 

要するに、南半球の開発途上国において潜在的なCCSプロジェクトを前進させるためには、より大きな努力が必要なことは明らかであり、MDBsはこの展開において、引き続き積極的な役割を担うことが可能であり、また、担わなければなりません。

 

 

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