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GCCSIインサイト&コメンタリー:中国、2023年も引き続きCCUSを前進させる

20th July 2023

トピック: Institute News

インサイト&コメンタリー
中国、2023年も引き続きCCUSを前進させる

 

発行日:2023年7月20日

原典:グローバルCCSインスティテュート

 

初の統合型メガトン規模プロジェクト立ち上げ後の「実践による学習」が機運を浮き彫りに

昨年8月、シノペックとしても知られる中国石油化工(China Petroleum & Chemical Corporation)による、中国山東(Shandong)省の同国初の統合型メガトン規模CCUSプロジェクトを操業開始後、中国におけるCCUSへの関心の高まってきました。

それ以来、中国海洋石油(CNOOC社)による初の沖合CO2貯留プロジェクト、中国華能集団による初の天然ガス・コンバインドサイクル(NGCC)CO2回収施設、シノペックによる初の商業規模CO2輸送パイプラインの操業開始、及び中国建材による初の酸素燃焼セメントCO2回収プロジェクトの開発開始等、同国の主要なエネルギー企業や業界最大手は、様々な部門における中国の次のCCUSマイルストーンの達成に熱心に取り組んでいます。

政策及び規制枠組は未だ大部分が欠如しているものの、同国のカーボンニュートラル目標を達成するためにこの技術をより深く理解しようとする中国の決意は明らかです。

 

202317月の主なマイルストーン:

  • 3月23日:技術及びエンターテインメントのコングロマリットであるTencent社が、中国のCCUS技術開発を支援するため、CarbonXプログラムを立ち上げる。
  • 5月19日:国家能源投資集団(以下、「China Energy社」)によって、寧夏(Ningxia)地区で年間3メガトン規模統合型CCUSプロジェクトの建設が開始され、第1段階では年間50万トンの実現を目指す。石炭液化施設から回収されたCO2の一部は、中国石油天然気集団の油田で石油増進回収に利用するために輸送される。
  • 6月1日:China Energy社の年間50万トン規模石炭発電CCUSプロジェクトが、江蘇(Jiangsu)省で本格操業を開始し、電力部門でアジア最大のCCUSプロジェクトとなる。
  • 6月2日:CNOOC社が、香港の南西約190kmに位置する、珠江口堆積盆地における中国初の沖合CO2貯留プロジェクトで圧入を開始。
  • 6月28日:中国建材の子会社であるChina United Cement Group社が、山東省青州(Qingzhou)市にて、年間20万トン規模というセメント業界では世界最大となる酸素燃焼CCUSプロジェクトの建設を開始。
  • 7月11日:山東省におけるシノペックの齐鲁勝利(Qilu-Shengli)CCUSプロジェクトが利用する、中国初の商業規模CO2輸送パイプライン(全長109km)が本格操業を開始。
  • 7月12日:華能集団が開発した、中国初のNGCC施設におけるCO2回収施設が海南島(Hainan Island)で操業開始。このパイロット計画は、華能独自の燃焼後回収技術で年間2,000トンのCO2回収を目指す。

 

新規プロジェクトが費用低減を推進

China Energy社の楡林(Yulin)市錦界(Jinjie)石炭火力発電所における年間15万トン規模CO2回収プロジェクトが、2021年6月に陝西(Shaanxi)省で操業開始されると、同社はすぐに江蘇省泰州(Taizhou)市で、年間50万トン規模アミンベース燃焼後石炭発電プロジェクトを計画し始めました。年間15万トン規模プロジェクトからの教訓を得て、この新規施設は、計画、設計及び建設にかかる時間を短縮しただけでなく、アミン吸収液の性能を大幅に改善し、全体の費用を削減しました。

この年間50万トン規模プロジェクトは、2022年3月22日に起工し、同年12月31日に完工、2023年5月に試運転を行い、6月2日に正式に本格操業を開始しました。

China Energy社のプロジェクト長であるDong Xu博士は、総回収費用が30%低減し、総回収エネルギー消費量が現在では2.4 GJ/トンCO2未満であることを示唆しました。これらの改善を考慮すると、総回収費用は、250人民元/トンCO2(35米ドル/トンCO2)まで低減したことになります。

 

 

1 China Energy社の泰州市石炭火力発電所における年間50万トン規模CO2回収施設(出典:China Energy社)

政策面を見ると、習近平国家主席は、7月11日に行われた中央深化改革委員会(Central Commission for Deepening Reform)の会議にて、中国は、エネルギー消費の最大量及び強度の二重制御から、CO2排出の最大量と集約度の二重制御へと徐々に移行していくことを強調しました。

これは、中国がいずれ政策の焦点をCO2排出量に切り替えて行くこと、そして、端的に言えば、省、部門及び工場は、いずれCO2排出量のキャップに直面する可能性があるという強い意志を示しています。

CCUSは、中国の電力及び削減困難部門が、近々発表される政策転換に対処するために導入しなければならなくなるツールの1つとなり得ます。「プロジェクトの実践による学習」及び「技術の研究開発」を通じて得られた全ての教訓は、同国がこの新しい政策体制をより良いものにするために役立つでしょう。

従って、このCCUSの機運は、中国において今後もしばらくの間続くと考えるのが妥当でしょう。

 

本稿は、グローバルCCSインスティテュート 中国カントリーマネージャーであるXiaoliang Yangが執筆しました。

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