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Shell社、CCS費用低減方法を見出す
30th July 2020
発行日: 2020年7月30日
Royal Dutch Shell社によるカナダ・アルバータ州のオイルサンドにおけるCCSプロジェクト、Quest(クエスト)は、その名の示す期待に応えている。大規模CCSの可能性を試すという先駆的なベンチャーであるQuestは、5年前の立ち上げ時以来コストを削減してきており、他の場所でこのモデルを採用するというShell社の計画の青写真となることができるかもしれない。
同プロジェクトは既に世界の先頭に立ち、グローバルCCSインスティテュートによれば、専用地中貯留を行う他のいかなる陸上CCSプロジェクトよりも多いとされる、500万トンの二酸化炭素をこれまで回収してきている。これを総体的に見ると、500万トンは、アルバータ州にある3つの大型国立公園の広大な森林によって1年に固定されるCO2量を超える。
「もしQuestを今日もう一度作り上げるとすれば、30%ほど建設費が下がるだろう」と、2015年のQuest操業開始時前から同プロジェクトに取り組んできたShell社のdevelopment and opportunity planner(開発・機会プランナー)であるSarah Kassam氏は語る。
「このプロジェクトはShell社にとって、またアルバータ州にとってもこの種のものとしては初めてのプロジェクトであったため、スタート時のコストはCO21トンあたり$120であったが、既にCO21トンあたり$80までかなり下がってきている」と、Kassam氏はEnergy Intelligenceのインタビューで語った。
全体で、Questは、オイルサンド・ビチューメンを合成石油に変えるスコットフォード改質プラント(Scotford Upgrader)からのCO2排出量のうち、約3分の1を回収・貯留する。回収されたCO2はその後パイプライン輸送され、不浸透性の岩層に地下圧入される。
建設方面では、Shell社は、システムにおける様々な部品をキットの形でサイトに持ち込むモジュラー建設の戦略を採用した。Shell社における今後の「概念計画」は、モジュラー建設戦略の再構築であると、Kassam氏は語る。
Questは自社で回収したCO2のみを貯留するため、回収したCO2を石油増進回収など他の目的にリサイクルできる、CO2回収・利用・貯留という人気の高まりつつあるカテゴリーには該当しない。
それにもかかわらず、利用目的がないCCSへの投資には、企業の排出目標達成を助けることができることから、やはり価値がある、とKassam氏は語る。そして、それが適用できる場所は十分にある。「世界中には、数多くの有望な堆積盆が確実に存在する。貯留は有効であり、多くの場所で有効だ。」
Questから得られる教訓は、Shell社がEquinor社及びTotal社と共にパートナーとなっているノルウェーのNorthern Lights CCSプロジェクトの開発において、現在参考とされている。