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GCCSIインサイト&コメンタリー:45Q 「世界で最も進歩的なCCS特化型のインセンティブ」、事業において利用可能に

24th March 2021

一年前の2020年4月、グローバルCCSインスティテュートは、酸化炭素(COx)隔離のための米国の セクション45Q 税控除(45Q)における新たな進展について詳述した簡易報告 を発表しました。当時、インスティテュートは45Qを、「世界で最も進歩的なCCS特化型のインセンティブ」と呼びましたが、1年を経て、45QはCCS施設の導入において、さらにより一層好都合なものとなっています。

 

2021年1月6日、米国財務省/内国歳入庁(IRS)は、クレジットの管理について規定した Final Rule and Regulations(最終規則及び規制) を発表しました。この最終ステップが達成されたことで、米国における炭素隔離規則が、完全に整備されました。このことの重要性は、米国が巨大な新市場を開く準備を、ついに、そして十分に整えたということです。そしてその市場は、規則に従えば、企業利益に多大な金銭的価値を添える税控除を獲得すると同時に、地球温暖化の主犯である二酸化炭素を地球から取り除くことになるのだということを、CCSの投資家、プロジェクト・ディベロッパー、排出主体が確信できる場所なのです。

 

45Qがどのように作用するか見てみよう – 3ステップのプロセス

45Qがどのように、誰に適用されるかについて見直すために、 控除の作用について説明した3ステップの図を載せました。このプロセスにおける全てのステップは、成文法(2018年超党派予算法( Bipartisan Budget Act of 2018)2020年エネルギー法(Energy Act of 2020))、ならびに1年半前に公表された財務省とIRSのガイダンスをベースとしています。

 

ステップ1 – 自らの施設/プロジェクトに45Q請求資格があるかどうかを判断する。

議会は、45Qに適格なCO2 回収施設を大きく3つのカテゴリーにまとめています。

  1. 最初のカテゴリーには、COxを回収して、燃料、化学品、コンクリートないしその他排出を削減する有益な製品を製造するために利用するプロジェクトが含まれます。これには、CO2 を回収して石油増進回収(EOR)油田に利用する施設は含まれません。 有益利用する施設が適格とされるためには、年間25,000メトリックトン(t/年)以上のCOxが回収される必要があり、回収量上限は500,000 t/年となります。
  2. 2番目のカテゴリーは、産業ないし直接空気回収(DAC)施設から100,000 t/年以上を回収するプロジェクトですが、回収量上限はありません。
  3. 同様に、発電施設には回収量上限はありませんが、プロジェクトではやはり500,000 t/年以上回収される必要があります。

ステップ 2 – 自らのプロジェクトの潜在的な控除額を判断する。

もしステップ1により、自らの施設が45Qに適格であるという結論が出たならば、次のステップは請求できる控除額がいくらになるかを算定することです。自らの施設が酸化炭素を回収して地中貯留専用地に圧入するのであれば、控除額は50米ドル/tCOxとなります。COx を回収してEORまたはその他の有益な利用のために用いるプロジェクトについては、控除額は35米ドル/tCOxとなります。

ステップ 3 – 自らが控除に適格とされる条件を判断する。

45Qを請求するプロジェクトに適用される主な条件は4つあります。これらの規定はいずれも、米国におけるCCS産業の成長と出現に大いに影響を与えることになります。 まず第一に、控除を請求するに足る十分な納税額がなくてはなりません。このため、常に、大半のプロジェクト・ディベロッパーが、タックス・エクイティ・パートナーシップを形成するよう求められます。第二に、控除はCO2回収装置の所有者に対して与えられます。このことは、実際のCO2 回収に関わる施設の大半は、CO2 輸送、利用ないし貯留を専門とする企業と控除額を分け合う必要があるということを意味します。第三に、最近成立した 2020年エネルギー法 では、45Qに適格なプロジェクトに対し、控除実現のために(2年間延長された)2026年1月1日までに重要な建設を開始することが求められています。自らのCCSプロジェクトに投資したいとするプロジェクト開発者は、急いで真剣に考える必要があります。最後に、プロジェクトが45Q税控除を請求できるのは、当該施設が運転開始してから合計で12年間です。

財務省及びIRSの最終 45Q ガイダンスは、CCSディベロッパーに好都合

最初に制定されたのは2008年でしたが、議会は2018年超党派予算法で45Qの大幅な見直しを可決しました。 財務省とIRSが45Qの実施ガイダンスを公表するのにはおよそ3年かかりましたが、この新しい規則により、数十億の民間資本を解放しうるレベルの規制的・資金的確実性が提供されることで、現在、投資家にとっての大きな障壁が取り除かれています。重要なことに、この規則はプロジェクト開発者にとって好都合な3つの重要な慣例を定めています。

  1. 純粋地層貯留に対するコミットメント。 IRSは地層貯留のモニタリング・報告・検証 (MRV)について厳格な基準を支持していますが、ディベロッパーに対しEPA ないしISO 基準のいずれかを遵守することを認めています。このことは、地層貯留について世界的な経験を持つ多国籍企業が米国の規制枠組の中で、より動きやすいことを意味します。
  2. 複数の利用プロジェクトからの回収CO2 量を合算するチャンス。 プロジェクト・ディベロッパーは、EOR以外の有益利用プロジェクトに関する控除資格に求められる最低回収閾値25,000 t/年を達成するために、個々のプロジェクトを合算するオプションを有しています。このことは、貯留量が合計25,000 t/年となる相互につながりを持った小プロジェクトのクラスターが控除資格を有するということを意味します。
  3. 適格な炭素利用プロジェクトの適格性を拡大。 この新規則が出る前、議会は適格とされる「炭素利用プロジェクト」の範囲を「商業市場」を有するものしか含めないよう狭く定めていました。IRSは適格とされる炭素利用プロジェクトの定義を大幅に広げ、回収された炭素から製造される幅広い製品が含まれるようになりました。

まとめると、最終規則は控除の目的– COx が隔離されていることの保証–を擁護する一方で、過剰に規範的な規制とはなっていません。このことは、十分な柔軟性と創造性を持つディベロッパーにとって、様々なビジネス・モデルを利用した様々なタイプのCCSプロジェクトを開発するインセンティブとなるにちがいありません。

45Qの未来 – この先どこへ?

最終ガイダンスは、CCSクレジット市場の存在を認めるという意味で、CCSの投資家とプロジェクト・ディベロッパーに確実性をもたらしはするものの、 45Qクレジット市場がいかに強力で持続的なものとなるかを保証するものでは決してありません。 CCS支持者は、より多くのCCSプロジェクトの指数関数的な増加を後押しするために、新たなガイダンスと合わせて特に以下の3つの政策強化が、強力に作用する可能性があると主張しています。

  1. 税控除に払い戻しないし「直接支払い」オプションを導入すること。基本的には、この政策は、十分なタックス・エクイティを有するプロジェクト・ディベロッパーに対し、ディベロッパーの控除額を薄めてしまうタックス・エクイティ・パートナーシップを形成させることなく45Qの有益性を実現できるようにすることで、仲介者を省くものです。彼らの税金から金額を差し引くかわりに、プロジェクト・ディベロッパーは税控除と同額の小切手を政府から受け取ることになります。
  2. 45Qに適格とされるプロジェクトの最低閾値を撤廃することで、米国内の数千の産業施設と数百の天然ガス火力発電所を45Qに適格とすること。
  3. 税額控除を受けるための建設開始日を延長すること。プロジェクト・ディベロッパーには現在、プロジェクトの建設開始(2026年1月1日)まで5年足らずしかありません。通常、プロジェクトが実際に着工するまでに、計画に数年以上かかるものです。 投資家達は長期的安定性を求めており、建設開始日の延長はその提供に大いに役立ちます。

45QはCCSプロジェクト開発において一番重要なものではありませんが、大きな金銭的インセンティブとなることは確かです。そして今、45Qは CCSを検討したいとする投資家に安定性と確実性をもたらします。クレジットの価値が大いに変動する炭素市場と違って、45Qには確実性があり、さらにカリフォルニア州の低炭素燃料基準(Low Carbon Fuel Standard:LCFS)市場のような他のインセンティブと組み合わせることもできます。

45Qの実施規則及び45Q に関する規制が最終化されたことで、米国は今後数年でより多くのCCSプロジェクト稼働を見ることのできる強力な立場にあります。

本稿は、ワシントンD.C.に拠点を置く当インスティテュートの上級アドボカシー&コミュニケーション担当アドバイザーであるMatt Brightにより執筆されました。

原文リンク

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