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丸紅とCarbon Clean Solutions社(CCSL)、 CCSプロジェクトを開発
12th August 2020
発行日: 2020年8月12日 原典 : Carbon Capture Journal 両社、CO2回収プロジェクトの開発・投資を行うべく、共同開発契約を締結。 このパートナーシップを通じ、両社は建設・所有・運営(build-own-operate)モデルにてCO2回収・利用・貯留 (CCUS)プロジェクトの共同支援・開発を行う。各市場で局地的に利用するためにCO2を回収することに重点を置きつつ、欧州で複数のプロジェクトが早急に開始されることになっている。丸紅株式会社とCCSLは、新たな国際プロジェクトに投資することでこのパートナーシップを進めていくことを積極的に模索していくだろう。 このパートナーシップは、両社における既存の、緊密な関係をベースとしている。丸紅は、直近の2,200万ドル規模のシリーズB資金供与ラウンドを通じてCCSLに投資している。この資金は、CCSLチームを成長させ、製鋼、セメント、廃棄物管理、精製及び石油化学品部門におけるCCUSプロジェクトに実証済みのCO2回収技術を提供するために使用される予定である。 この提携には無理が無い。CCSLは、 2021年までにCO2回収費用$30/トンを達成するための自社「コンテナ化」ソリューションの製作に引き続き投資を行うことで、手頃なCO2回収への道を先導していく。丸紅は、その広範な国際ビジネス・ポートフォリオで、2023年までに自社の「グリーン・レベニュー」を7,000億円から1兆3,000億円まで増加させることを目指している。両社は、世界の脱炭素化の一助となるという望みを共有している。
産業CCSの限界削減費用曲線-スウェーデンの事例研究
11th August 2020
発行日:2020年8月11日 原典:Frontiers in Bioengineering and Biotechnology Department of Space, Earth and Environment, Chalmers University of Technology(チャルマース工科大学宇宙・地球・環境学部)、スウェーデン、ヨーテボリ(Gothenburg) CCSは、エネルギー集約型産業部門の大幅な排出削減を達成するにあたって重要な役割を担うことが期待されている。CO2回収の実施は、かなりの投資費用を必要とすると共に、プラント操業費用に大きな影響を及ぼすが、これらは両者共に、主に排ガスの流れと成分の差異に起因するサイトの状況や、回収ユニットを稼働させるために利用出来る余剰熱の入手可能性に依存する。本研究において我々は、スウェーデンの製造プラントのうち、化石起源か生物起源かを問わず、年間CO2排出量が500kt以上の全28か所のプラント(石油化学サイト、製油所、鉄鋼プラント、セメント工場及びパルプ製紙工場を含む)において、アミン・ベースの燃焼後CO2回収を導入し、操業するために必要な費用を明らかにする。この作業では、必要とされる投資の差異と共に、回収プロセスの蒸気需要を賄うために余剰熱を利用出来る可能性の差異が検討される。結果として得られた総CO2回収費用は、調査対象となった排出源における限界削減費用曲線(marginal abatement cost curve; MACC)の形で提示される。また、輸送及び貯留システムの推定費用についても提示される。MACCは、28か所の産業ユニットに付設されたCO2回収設備が、排出源によって約40~110ユーロ/tCO2の費用で、スウェーデンの総CO2排出量(全部門)の50%以上に相当するCO2排出量を回収することを示している。最適なサイトにおける部分的な回収は回収費用を引き下げる可能性があるため、CCSを導入する低費用オプションとなり得る。上乗せされる輸送及び貯留費用は、輸送インフラの場所及びタイプによって約25~40 ユーロ/tCO2となる。
米国CO2回収プロジェクト、閉鎖前から問題に悩まされる―米エネルギー省文書
7th August 2020
発行日:2020年8月7日 原典:英国ロイター 米国エネルギー省(U.S. Department of Energy)の報告書によると、米国テキサス州の石炭発電所から排出されるCO2を利用する10億ドル規模のプロジェクトは、慢性的な機械上の問題を抱えており、今年閉鎖される以前から日常的に目標値を達成していなかったようだ。 Petra Nova(ペトラ・ノヴァ)プラントの業績は、地球温暖化を引き起こすガスを回収し、地下に貯留する新たな取り組み、すなわち気候変動と戦おうとしている企業及び政府にとって極めて重要だとされている技術の重要な試験だと見なされていた。 NRG Energy社及び日本のJX石油開発株式会社によるこの共同事業プロジェクトは、米国政府から1億9,000万ドルの助成金を受けている。操業休止にされる以前は、石炭火力発電所からCO2を回収する唯一の米国プロジェクトだった。 エネルギー省が3月にまとめた技術報告書によると、Petra Novaが開始された2017年以来、同施設は367日の機能停止に見舞われている。報告書によると、機能停止日数の4分1以上の原因がCO2回収施設の問題であり、それにプラントの専用天然ガス発電装置の不具合が続く。 同施設はまた、最初の3年間で380万ショート・トンのCO2を回収したが、デベロッパーらが見込んだ460万ショート・トンに届かなかったことから、CO2回収目標も17%ほど満たすことができなかった。 同プラントは、W.A. Parish(W.A.パリッシュ)石炭発電所にある4基のユニットのうち1基から排出されるCO2の33%を回収し、より多くの石油を地上に汲み上げるために利用する目的で、それをパイプライン経由で81マイル離れたWest Ranch(ウェスト・ランチ)油田に輸送するように設計されていた。 NRG社は5月1日に同施設を休止させ、コロナ・ウィルスの蔓延によって引き起こされた石油価格の暴落によって同施設が非経済的になったと述べた。 NRG社はプラントの技術性能についてコメントしないものの、経済状況が好転した際には再稼働が可能だと述べた。 「我々は、既存の石炭火力発電所にCO2回収技術を設置し、設計通りに運用出来ることを実証すべく成し遂げてきた仕事を誇りに思っている」と、NRG社広報担当者Chris Rimel氏は声明の中で述べた。 エネルギー経済・財務分析研究所(Institute for Energy Economics and...
発行物・報告書・研究 気候、経済及び社会にとってのCCSの価値(ファクトシート及びビデオ)
7th August 2020
発行日:2020年8月7日 原典:グローバルCCSインスティテュート The Value of Carbon Capture and Storage(CCS)(CO2回収貯留(CCS)の価値)ソート・リーダーシップ報告書は、経済面及び気候変動緩和面の双方からCCSプロジェクトの大規模な投資及び普及の利点について評価しています。 この新しく発表されたファクトシートは、報告書における以下の主要要素について取り上げています。 排出削減が困難な産業部門における、CCS技術を利用した大幅な脱炭素化 CCS普及と結び付いた広範囲に及ぶ雇用創出 イノベーション主導の経済成長の実現
Drax、画期的カーボン・リサイクル・プロジェクトを立ち上げ
6th August 2020
発行日: 2020年8月6日 原典 : Biomiass Magazine REACT-FIRSTプロジェクトは、バイオエネルギー発電からの二酸化炭素を回収して持続可能なプロテインを生成する、英国で初めての拡大可能な手段である。同プロジェクトは、Innovate U.K.からの300万ポンドの資金供与という形で政府からの資金支援を受けて立ち上げられ、英国のNet Zero(正味排出ゼロ)気候変動コミットメントの達成ならびに循環経済に貢献することになる。 REACT-FIRST は、微生物を利用して工業排出からの二酸化炭素を高価値なプロテインに転換するプロセスを開発したカーボン・リサイクル・バイオテクノロジー企業、Deep Branch社の主導で行われている。 Draxグループは昨年、バイオエネルギーCCS (BECCS)を利用して2030年までにカーボン・ネガティブとなるという世界トップレベルの目標を発表し、自社の二酸化炭素排出を持続可能な動物飼料製品用のプロテイン製造に利用する実現可能性を探るべく、Deep Branch社と協力を続けてきた。 「REACT-FIRSTコンソーシアムを通じて他企業と協力することにより、我々は共に農業など脱炭素化のより難しいセクターが気候危機に対処すべく前向きな変化を遂げる手助けをすることができる」と、DraxグループのChief Innovation Officer(最高イノベーション責任者)であるJason Shipstone氏が説明するように、DraxはREACT-FIRSTプロジェクトを通じ、サイト統合とCO2 ライフサイクル分析における専門知識によってさらなる支援を提供していく。
Petrofac社及びStoregga社、低炭素プロジェクト連合を結成
6th August 2020
発行日:2020年8月6日 原典:Renewable Energy News Europe Petrofac社が英国において低炭素プロジェクトを開発するため、クリーン・エネルギー企業Storegga Geotechnologies社との覚書(MoU)に署名した。 同MoUは、CO2回収・利用・貯留(CCS)、水素及びその他の低炭素プロジェクトにおける事業開発及びプロジェクト・イニシアティブの可能性に関するPetrofac社・Storegga社間の協力内容の大筋を示している。 合意は、初期において英国大陸棚及びヨーロッパ北西部を対象としており、両社が国際的に協力する範囲も含んでいる。 Petrofac社は最近、Storegga社が持ち株会社になっているPale Blue Dot社から、Acorn(エイコーン)プロジェクトのプロジェクト管理オフィス支援契約を受注した。
Shell社、排出削減のためパースのカーボン・ファーミング企業を買収
4th August 2020
発行日: 2020年8月4日 原典 : The Australian エネルギー企業大手のShell社が、2050年までに正味ゼロ排出に到達するというより大きな全地球的目標において、このたび豪州における再生可能資源を後押しするとして、豪州パースを本拠とするカーボン・ファーミング企業を買収した。 買収対象となったSelect Carbon社は、温室効果ガス排出量を削減し炭素を植生や土壌に貯留する農業・土地管理技術を利用する環境サービス企業である。 この取り決めは、Shell社のNature-Based Solutions事業にとり、2020年から2021年の間に同ユニットに2億米ドル(2億8000万豪ドル)投資する計画の一環として行われる世界初の買収となる。Select Carbon社の買収価格は公表されなかった。 Shell社は、ファーミング・ソリューションまたはCCS—同社が既に西オーストラリア州でChevron社の大型Gorgon CCS開発において既に株式を保有—のいずれかを通じて、排出量をオフセットする方法を見つけることに重点が置かれていたと語った。 Select Carbon 社は、900万ヘクタールに及ぶ70件のプロジェクト・ポートフォリオを開発及び管理している。発生するカーボン・クレジットは、連邦政府のEmissions Reduction Fund(排出削減基金)を通じて、販売に供される。
インサイト : 国際CO2 貯留資源データベース、CCS普及に向けた重要な第一歩
4th August 2020
発行日: 2020年8月4日 原典: グローバルCCSインスティテュート 全地球レベルでは、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change:IPCC)も国際エネルギー機関(International Energy Agency :IEA)も、2050年までに正味ゼロまで排出を削減し、経済的に長期的気候目標を達成すべく、CCSが大規模に普及されつつあることを一貫して示しています。 このことを達成するには、排出削減のために、複数ギガトンに及ぶ二酸化炭素(CO2)の貯留が必要となるでしょう。実際、IPCCの気候経路が、2100年までに累積で最大1,200 ギガトン (Gt)のCO2 が貯留されることをモデリングしています。パリ協定目標達成と整合する IEAの 持続可能な開発シナリオ(Sustainable Development Scenario:SDS)では、世界のCO2 貯留量は2050年までに年間2.8 Gtに到達しています。 このレベルの恒久的地中貯留に到達するには、前世紀における石油業界の成長の2倍以上のCCS 普及率が必要となるでしょう。この普及規模を達成する上で肝心要なことは、CO2 貯留サイトの継続的で全地球的な特性評価と開発です。 このたび立ち上げられた国際CO2 貯留データベースは、このような評価を推進しようとするものです。7月に立ち上げられたこのGlobal Storage Resources Database (国際貯留資源データベース:GSRD) は、今後の貯留資源評価全ての国際的保存庫となり、安全かつ商業的採算性のあるCCUS産業の成長を支援することを目指しています。 このデータベースは、公表されているCO2 貯留資源の商業開発と成熟度について投資家の理解を高め、投資家の信頼を高めることにつなげることで、それを行います。 グローバル CCSインスティテュートとOil and Gas Climate...
先駆的CO2回収プロジェクト、操業休止となるも豪州での努力は継続
2nd August 2020
発行日:2020年8月2日 原典AFR Online 注目されてきた米国テキサス州のPetra Nova(ペトラ・ノヴァ)CO2回収施設が閉鎖されるも、支持者達が豪州で同技術を開発しようとするのを思いとどまらせるには至っていない。 豪州の納税者達及び産業は、世界で最も有名な米国のCCS施設が閉鎖されても、採油量を増進するために温室効果ガスの回収努力を推し進めて行く。 ニューヨーク証券取引所に上場されている電力会社であるNRG Energy社はAustralian Financial Review紙に対し、テキサス州にある同社Petra Nova CCS施設について、財務実績の不振を理由に操業休止したことを認めた。 Petra Novaは、CCSがどのように商業環境で石炭火力発電所からの排出削減を可能にするかを示す例として、豪州政治家達が取り上げて来たものである。 Josh Frydenberg豪州財務相は、エネルギー相だった2017年、同施設で撮影したユーチューブ・ビデオの中でPetra Novaについて「心躍る(exciting)」と表現していた。 しかし、Petra Novaは主に2014年以降の石油価格下落により、一度も商業的に成功することはなかった。 Petra Novaは、テキサス州にあるNRG社WA Parish(WAパリッシュ)発電所から排出されたCO2の一部を回収した後、それを129km離れた油田にパイプライン輸送し、採油率を向上させるために地下に圧入した。 このモデルはPetra Novaに、電力販売と石油販売という2つの収入源をもたらしたが、双方共に利益を上げるほどではなかった。 「石油価格が下落した今春始め、我々はPetra Novaの操業及びWest Ranch(ウェスト・ランチ)油田へCO2供給を停止した」と、NRG社は木曜日(7月30日)に述べた。 「CO2回収施設は、経済状況が好転した際に再稼働出来るよう、操業休止状態に置かれている。」 この操業休止に先立ち、NRG社はPetra Novaに対して2016年に1億4,000万米ドル、更に2017年に6,900万米ドルの減損をそれぞれ計上した。 Petra Novaに係る借入契約も、2019年に不履行となった。 NRG社は、CO2を回収するために通常必要とされた電力は現在、テキサス州の電力網に販売されていると述べた。 「Petra...
CO2CRC及びNERA、豪州CCUSに関する重要な調査を立ち上げ
31st July 2020
発行日:2020年7月31日 原典:Carbon Capture Journal NERA(豪州全国エネルギー資源:National Energy Resources Australia)及びCO2CRCが、豪州エネルギー資源部門におけるCO2排出削減を支援すると同時に、豪州のエネルギー未来を保証するため、CCUSに関する新しい重要な調査を行うことを発表した。 調査プロジェクトは2段階に分けて実施されている。CO2CRCがGeosciences Australia(豪州地球科学機構)との協力の下で主導し、COAL21が支援する第1段階では、CO2の石油増進回収(CO2-EOR)への利用可能性について豪州の石油・ガス堆積盆がランク付けされる。調査プロジェクトの第2段階では、豪州の陸上堆積盆における油田・ガス田レベルでのCO2-EORの潜在的チャンスについて産業界及び政府に知見が提供される。 また、この調査プロジェクトでは、石油回収及びCO2貯留を目的とした豪州のCO2-EOR採用を加速させ、同時に同技術の安全で効率的な利用を保証する、政策、インセンティブまたは規制の枠組の評価並びに提言も行う。 NERAのCEOであるMiranda Taylor氏は、同プロジェクトについて、低費用排出削減の新たなソースについて検討した有識者パネルによる最終報告書(Final Report of the Expert Panel;the King Review)の提言を豪州が達成し、豪州経済全体の新しい排出削減チャンスを広げる重要な手段を講じるよう助ける可能性があると述べた。
インサイト: CCS普及の課題、実現要因、及び機会
31st July 2020
このように一般の人々の誤解と商業的課題があるにもかかわらず、具体的な政策と商業的機会によってCCS投資の成功が実現してきた状況があります。運転中ないし建設中にあるCCS施設は24件ありますが、これらはいずれも前向きな金融投資決定が行われてきたものです。 第一の実現要因は、高濃度のCO2 ガス流と、評価に必要なデータの得られる高品質な CO2 地中貯留資源へのアクセスです。このような状況が揃うことにより、回収、貯留サイト評価、CO2 輸送、CO2 貯留事業に関わるコストが低減されます。 第二の実現要因は、確実に利益を生む重要な収入源です。運転中ないし建設中にある18件の 既存CCS施設 は、CO2 を石油増進回収用(EOR) 用に販売あるいは利用していますが、そうすることによって、長期的で確実な収入源が生み出されます。米国では、内国歳入法セクション45Q のもとで出される税控除が、2011年以降同国で操業開始した6件のCCS施設における重要な実現要因となってきました。税控除に適格となる複数の新プロジェクトが、現在調査を通して進展中です。 炭素価格付けによっても、CCSの商業化を支援することができます。1991年にノルウェー で導入された炭素税は、 Sleipner(スレイプナー)とSnØhvit(スノービット)の両CCSプロジェクトの開発にインセンティブを与えました。 規制は、一定レベルを超える排出を禁止することによって、CCSへの投資にインセンティブを与える役割を果たしてきました。 Chevron社は、豪州の自社Gorgon LNGプロジェクトからのCO2 排出を削減する必要性を認識し、その環境影響報告書にCCSを含めました。 西オーストラリア州政府による同プロジェクトの承認には、その後、ガス処理事業により発生するガス田CO2 の80%以上を圧入するという必須条件が盛り込まれました。 カナダ・サスカチュワン州において2011年に発電の排出性能基準が導入されたことは、Boundary Dam CCS施設の開発における推進要因となりました。CCSが無ければ、Boundary Damの石炭ユニットは閉鎖し、天然ガス複合サイクル・プラントに差し替えることを要求されていたでしょう。当時、ガス価格が上昇し、より変動的になることが予想されていたため、同石炭ユニットのCCS付設改修がNPVが最高となるオプションとなったのです。 第三の実現要因は、CO2地中貯留のための孔隙へのアクセスに関する透明で予測可能な規制です。投資家は、自らが地中貯留資源を開発する権利を確保し、CO2 貯留事業に関わる遵守リスクを管理できるということを確信している必要があります。さらに、政府にとっては、明確な特徴を持つ法規制枠組 を実施し、貯留されたCO2 に対する事業者の潜在的責任を明確にすることが重要です。豪州政府が実施した枠組は一つの優れた例であり、そこでは、貯留事業者がプロジェクトの運営期間と閉鎖後の特定の期間、短期的な責任のリスクを負います。 第四の実現要因は、 支援的な政府です。政府は必要に応じ、特定のプロジェクトに対し、資本費補助、運営助成金、譲与的条件貸付の形で資金支援を提供することができます。政府はまた、CO2輸送・貯留インフラへの最初の投資家になることにより、規模の経済を通してCO2 輸送・貯留のコストを大幅に低減するCCSハブの設置を支援することも可能です。 また、政府には、気候目標達成におけるCCSの必要性について一般の人々の信頼と理解を構築するという点で果たすべき重要な役割があります。 英国の気候変動委員会(Committee on Climate Change)は、英国が2050年までにどのように正味ゼロ排出を達成しうるかについて述べたその 2019年5月の報告書 の中で、優れた例を示しています。同委員会の分析は、産業、発電、水素製造からの排出量を緩和するために、CCSなど、可能性を持ったあらゆる低排出・省エネ技術が必要であること実証しています。2050年に179MtのCO2 が英国で回収・貯留されなくてはならないとされていることは重要です。 最後に、CCS普及が必要な規模に到達するためには、CCS投資の短期的な機会について検討することが重要です。ほとんどの機会では、以下の属性が実証されています。...
Shell社、CCS費用低減方法を見出す
30th July 2020
発行日: 2020年7月30日 原典 : International Oil Daily Royal Dutch Shell社によるカナダ・アルバータ州のオイルサンドにおけるCCSプロジェクト、Quest(クエスト)は、その名の示す期待に応えている。大規模CCSの可能性を試すという先駆的なベンチャーであるQuestは、5年前の立ち上げ時以来コストを削減してきており、他の場所でこのモデルを採用するというShell社の計画の青写真となることができるかもしれない。 同プロジェクトは既に世界の先頭に立ち、グローバルCCSインスティテュートによれば、専用地中貯留を行う他のいかなる陸上CCSプロジェクトよりも多いとされる、500万トンの二酸化炭素をこれまで回収してきている。これを総体的に見ると、500万トンは、アルバータ州にある3つの大型国立公園の広大な森林によって1年に固定されるCO2量を超える。 「もしQuestを今日もう一度作り上げるとすれば、30%ほど建設費が下がるだろう」と、2015年のQuest操業開始時前から同プロジェクトに取り組んできたShell社のdevelopment and opportunity planner(開発・機会プランナー)であるSarah Kassam氏は語る。 「このプロジェクトはShell社にとって、またアルバータ州にとってもこの種のものとしては初めてのプロジェクトであったため、スタート時のコストはCO21トンあたり$120であったが、既にCO21トンあたり$80までかなり下がってきている」と、Kassam氏はEnergy Intelligenceのインタビューで語った。 全体で、Questは、オイルサンド・ビチューメンを合成石油に変えるスコットフォード改質プラント(Scotford Upgrader)からのCO2排出量のうち、約3分の1を回収・貯留する。回収されたCO2はその後パイプライン輸送され、不浸透性の岩層に地下圧入される。 建設方面では、Shell社は、システムにおける様々な部品をキットの形でサイトに持ち込むモジュラー建設の戦略を採用した。Shell社における今後の「概念計画」は、モジュラー建設戦略の再構築であると、Kassam氏は語る。 Questは自社で回収したCO2のみを貯留するため、回収したCO2を石油増進回収など他の目的にリサイクルできる、CO2回収・利用・貯留という人気の高まりつつあるカテゴリーには該当しない。 それにもかかわらず、利用目的がないCCSへの投資には、企業の排出目標達成を助けることができることから、やはり価値がある、とKassam氏は語る。そして、それが適用できる場所は十分にある。「世界中には、数多くの有望な堆積盆が確実に存在する。貯留は有効であり、多くの場所で有効だ。」 Questから得られる教訓は、Shell社がEquinor社及びTotal社と共にパートナーとなっているノルウェーのNorthern Lights CCSプロジェクトの開発において、現在参考とされている。