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米エネルギー省、FLExible CO2回収貯留 (FLECCS) プログラムへの1,150万ドル資金供与を発表
13th July 2020
発行日: 2020年7月13日 原典 : 米エネルギー省 米国エネルギー省(U.S. Department of Energy)が今日、Advanced Research Projects Agency-Energy (エネルギー高等研究計画局:ARPA-E)のFLExible Carbon Capture and Storage (フレキシブルCO2回収貯留:FLECCS) プログラムのフェーズ1の一環として、12件のプロジェクトに1,150万ドルの資金供与を行うことを発表した。FLECCSプロジェクト・チームは、変動性再生可能エネルギー(VRE) の浸透率が高い環境において、天然ガス火力発電設備などの技術がグリッド条件により良く応答できるようにするCCSプロセスの開発に取り組む。 FLECCSプロジェクト・チームは、天然ガスやバイオガスなど化石燃料起源の炭素を含む燃料を原料として発電を行う既存の発電設備ならびに新設システムにCCSの付設改修を行なっている。FLECCSのフェーズ1チームは、高VREグリッドにおいて柔軟性を実現できるようCCSプロセスの設計・モデリング・最適化を行う。その後、同プログラムの中で、フェーズ2に移行するチームは、技術的リスクとコストを低減すべく、建築部材、ユニット運転、プロトタイプ・システムに注力する。 FLECCSプロジェクトのサンプルは以下のとおりだが、プロジェクトの全リストは こちらを参照のこと。 Linde Gas North America – ニュージャージー州マーリー・ヒル(Murray Hill) CO2回収・水素製造・貯留を伴う NGCC(天然ガス複合サイクル)発電所のプロセス統合及び最適化 -...
新しい分析、CCSのチャンスを発見
11th July 2020
発行日:2020年7月11日 原典:Carbon Capture Journal Great Plains Institute(グレート・プレーンズ研究所:GPI)及び米国ワイオミング大学(University of Wyoming)のJeffrey Brown氏が新しい分析の中で、地域規模CO2輸送ネットワーク計画について調査した。 同白書はまた、米国における今世紀半ばの脱炭素化目標を達成するために、規模の経済を通して得られる経済面及び環境面における便益について考察している。 地域規模CO2輸送インフラを特定するモデリングの取り組みを利用し、同分析は短期的なCCSのチャンスを特定し、その後、米国中西部、ロッキー山脈諸州、プレーンズ(大平原)諸州、湾岸諸州及びテキサス州全体の費用と土地利用への影響を最小化しながらCO2削減を最大化するのに必要な地域輸送インフラを設計及び計画する。 「2030年に対して2050年という、より長い時間軸でCO2輸送インフラ計画を立てることにより、我々のモデリング・シナリオでは、土地利用への影響をほぼ増加させず、費用もわずかな増加のみで、2倍の回収及び貯留量が得られた」と、GPIのDirector of Research(研究担当ディレクター)であるDane McFarlane氏は述べている。「従って、今世紀半ばに向けて協調的に地域ネットワークを計画すれば、トン当たり半分の費用で2倍のCO2が貯留出来ることになる。」 スクリーニング・プロセスにより、施設へのCO2回収付設で採算が取れる産業及び電力部門のCO2排出源が特定された。この回収されたCO2は、モデル化されたパイプライン・ネットワークを通じて、恒久貯留のために深部塩水地層に輸送される。 米国連邦セクション45Q税控除の拡張は、より好ましい政策状況を作り出すことで、米国のCO2回収に弾みをつけた。 「今後、CO2回収プロジェクトの費用を削減し、財務的な実現可能性を達成するのを助けるために45Q及びその他の連邦政策を補完するにあたって、州政策も重要な役割を果たすことが出来る」と、GPI副所長であるBrad Crabtree氏は述べている。「CO2回収へのインセンティブの提供、CO2輸送及び貯留インフラ開発の促進、並びにエネルギー・ポートフォリオ要件の実施といった州政策は全て、CO2回収を地元及び地域レベルで経済的に実現可能なものとすることができる。」
CO2回収は気候変動との戦いに役立つ、とSaudi Aramco社幹部語る
11th July 2020
発行日:2020年6月11日 原典:CNN (訳注:脱炭素化が困難な産業部門による)CO2排出量の大幅削減は、CO2回収・利用・貯留(CCUS)として知られる一連の技術を通して達成出来る。これらの技術は、CO2を大気中に放出される前に回収することで、排出による影響を大幅に緩和する。当Aramco社では、サウジアラビアにある大規模ガス・プラントにおいてこの技術を試験している。同プラントは、CO2を圧縮し、油田に圧入することで、年間80万トンのCO2を回収している。Aramco社はまた、移動型CCUS技術を試験しており、最近、自らが排出するCO2の45%を回収し、車両内に貯留する大型トラックを開発した。 CO2回収技術を民間部門にとって採算に取れるものにするためには、更なる作業が必要である。CCUSは単に排出されるCO2を回収する以上のものであることから、これは特に重要である。Aramco社は、回収されたCO2を利用して、従来型ポリマーのたった3分の1のカーボン・フットプリントでプラスチック等の有用ポリマーを作り出す転換技術に投資している。我が社はまた、コンクリートを養生するために空気ではなくCO2を利用し、この最もありふれた建材の中に最高20%のCO2を貯留する技術も開発した。 加えて、Aramco社及び韓国科学技術院(KAIST Institute)の研究者らはこのたび、CO2の有用な製品への転換は非常に大きな可能性を秘めていることを証明した。Science Magazineによって発表された最近の論文の中で、同研究者らは化学薬品、燃料及びその他製品を生産する際にCO2を利用出来ることを示した。 我が社のプロジェクトは、排出されるCO2が再利用及びリサイクル可能であることを示している。それは、CO2がもはや廃棄物ではなく、むしろ有用な製品の重要な原料及びエネルギー・キャリアとなる循環型システムを、CO2回収技術が作り出せる可能性を意味している。世界中の炭素集約型産業によるCCUS技術の採用は、排出されるCO2が回収され、有用な製品に転換される循環型炭素経済を実現させるだろう。その可能性があれば、CO2回収技術はクリーンかつ持続可能な未来に大きく貢献出来るだろう。
QUEST(クエスト)CCS施設、5周年記念を前に500万トンのCO2を回収及び貯留
10th July 2020
発行日:2020年7月10日 原典:Shell Canada 開始から5年も経たないうちに、Quest(クエスト)CCS施設が予想よりも低費用で500万トンものCO2を回収し、安全に貯留した。500万トンのCO2とは、乗用車約125万台分の年間排出量に相当する。Questの操業費用は、2015年の予測値よりも約35%低く、もしQuest施設が今、建設される場合は、資本効率の改善により費用が約30%低くなるであろう。 2015年11月6日に開始されたQuest CCS施設は、オイルサンド事業から年間約100万トンのCO2を回収し、地下2km以上の深さにある砂岩貯留層に安全に貯留するように設計されたものである。QuestはCO2を大量に圧入出来る素晴らしい貯留層及び年間稼働停止時間が1%未満という高い回収信頼性に助けられ、費用を低減しながらこの目標を超過することが出来た。安全な地中CO2貯留サイトの豊富な選択肢を提供する深部塩水層と枯渇油田を持つカナダ・アルバータ州は、CCSの理想的な実施地である。 Shell社は、フルCCSバリューチェーンにおいて積極的に活動すると共に、2050年以前に正味ゼロ排出エネルギー事業者になるという目標の一環として、全世界でCCSへの投資を継続している。Shell社は、パートナーであるTotal社及びEquinor社と共に2020年5月、ノルウェーにおけるNorthern Lights(ノーザンライツ)CCSプロジェクトの最終投資決定を行った。Northern Lightsプロジェクトは、CCSのより広範な実施を奨励するために過去5年間にわたって知識と教訓を共有して来たQuestからの教訓を取り入れている。Questの設計及び性能データは、アルバータ州政府のウェブサイトを通して、年次報告書から入手可能である。 Questはオイルサンド事業に適用された世界初の商業規模CCS施設であり、Athabasca Oil Sands Project(アサバスカ・オイルサンド・プロジェクト:AOSP)を代表してShell社が運営している。AOSP資産における直接的及び間接的な所有持分の総計は、それぞれCanadian Natural Resources社及び関連会社が70%、Chevron Canada社が20%、Shell Canada社が特定の子会社を通して10%となっている。
Zero Emissions Platform(ゼロ・エミッション・プラットフォーム)と産業界、EU会議でCCSプロジェクトを強調
10th July 2020
発行日:2020年7月10日 原典:Carbon Capture Journal Zero Emissions Platform(ゼロ・エミッション・プラットフォーム)と産業界の利害関係者らが Frans Timmermans上級副委員長に対し、すぐにでも着工出来るCCSプロジェクトを紹介し、経済回復における同技術の役割を強調した。 Zero Emissions Platform(ZEP)は、Frans Timmermans欧州委員会上級副委員長並びにDG CLIMA(気候行動総局)のMauro Petriccione総局長及びDG ENER(エネルギー総局)のDitte Juul-Jørgensen総局長と面会した。 議論では、CCSプロジェクト、CO2インフラ及びクリーン水素がどのように欧州脱炭素化において重要な役割を果たし、また、欧州経済回復にどのように貢献出来るかに焦点が置かれた。ZEPメンバーシップの幹部級代表者等は、「すぐにでも着工出来る」プロジェクトを複数紹介し、それらが欧州におけるパンデミック後の回復計画及び2050年までに気候中立になるというEU目標をどのように支援出来るかについて説明した。 Port of Rotterdam Authority(ロッテルダム港湾公社)の社長兼CEOであるAllard Castelein氏は、次のように述べた。「Porthos(ポルトス)プロジェクトは、ロッテルダム港の様々な産業から北海の枯渇したガス田にCO2を輸送し、貯留する。我々は年間約250万トンのCO2を貯留することを見込んでいる。輸送及び貯留のための共有インフラは、トン当たり費用を低減させる。このようなプロジェクトは、パリ協定の目標を実現させるために不可欠である。」 HeidelbergCement社Managing Board(取締役会)のメンバーであるJon Morrish氏は、次のように述べた。「欧州経済の基盤であるセメント産業にとって、CCSは脱炭素化に向けた欠かせない道筋を意味し、また、欧州産業が国際市場において競争力を持てるようにするものだと我々は見ている。我が社のプロジェクトのうち2件は、有望なCO2貯留地域だとは見なされないことが多い東欧におけるCO2回収利用に焦点を置いている。」 ZEPはTimmermans上級副委員長及び欧州委員会に対し、CCSプロジェクト及び大規模脱炭素化を推進する越境CO2輸送インフラ開発を確実に進めるために現在必要とされていることを強調する、いくつかの政策要請を提示した。
CO2 Capture Project、排ガスへのピペラジン吸収液利用に関するファクトシートを発表
9th July 2020
発行日:2020年7月9日 原典:Carbon Capture Journal 低CO2排ガスにおける高CO2回収率を達成するためにピペラジン吸収液を先端分離技術と共に利用した取り組みに関する最新のファクトシートがCCP(CO2 Capture Project:CO2回収プロジェクト)から入手可能となった。 CCPは米国テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)及びアラバマ州ウィルソンビル(Wilsonville)にあるNational Carbon Capture Center(米国国立CO2回収センター)と共にパイロット試験を実施した。パイロットは成功したと見なされており、プロジェクト及びその結果の詳細はファクトシートに記されている。 ファクトシートをダウンロードする
投資家のリスク最少化はCCSにおいて極めて重要
6th July 2020
発行日:2020年7月6日 原典:Carbon Capture Journal Haskayne School of Business(カナダ・ハスケイン・ビジネス・スクール)の研究者が、カナダ・アルバータ州及びメキシコのプロジェクトに関する法的枠組の影響を研究 メキシコが低炭素経済に向けて動いている中、カナダ・アルバータ州の包括的なCO2に関する法的枠組がメキシコの温室効果ガス削減に役立つ可能性があると、カルガリー大学(University of Calgary)の研究者が述べた。 「アルバータ州がCCSサイトの開発と規制に係る経験をメキシコと共有するのは自然な結び付きだ」と、Faculty of Law(法学部)とHaskayne School of Businessの双方に所属する教授であるAllan Ingelson氏は述べた。 双方の国及び地域が直面している法的課題は、最近英国で発行されたEnvironmental Liability: Law, Policy and Practice(環境責任:法律、政策及び手続)に掲載されているIngelson教授の記事の中で概説されている。同論文は、2017年にメキシコと同大学のGlobal Research Initiative(グローバル研究イニシアティブ:GRI)の間で交わされた、石油・ガス開発のために同大学の環境ソリューションに関する専門知識を共有するという覚書に触発されたものである。 世界最大のプロジェクト アルバータ州は、油田の生産期間を延長するために老朽化した油田にCO2を圧入するCO2回収・利用・貯留(CCUS)において何十年にもわたる経験を持っていると、Ingelson教授は述べている。この圧入プロセスは、CO2を地下深部貯留層に恒久貯留するだけのために設計されたCCSプロジェクトにも利用出来ると同氏は言う。 「メキシコの法律はCCSの面ではあまり進んでいない」とIngelson教授は語る。「同国は、アルバータ州が持つような法的枠組をまだ構築していない。」...
ExxonMobil社、Princeton Energy Center(米プリンストン大学エネルギー・センター)との協力体制を更新
6th July 2020
発行日:2020年7月6日 原典:Carbon Capture Journal ExxonMobil社と米国プリンストン大学(Princeton University)のAndlinger Center for Energy and the Environment(アンドリンガー・エネルギー環境センター)が低排出技術及びエネルギー・ソリューションの研究に関する協力体制を更新。 この新しい5年間契約は、2015年に始まった同大学E-filliates PartnershipへのExxonMobil社の参加を足がかりとするものである。E-filliatesはAndlinger Centerが運営する企業メンバーシップ・プログラムであり、産学パートナーシップを通してエネルギー及び環境技術の研究・開発・普及の加速を後押しすることを目指している。 ExxonMobil社は、ここ20年間で他のどの企業よりもCO2を貯留してきたCO2回収の世界的リーダーである。 プリンストン大学は、貯留されたCO2の岩層内での流れや鉱物との相互作用をより深く理解するための新しい研究を通してこの技術を前進させており、地中貯留能力の理解を向上させている。将来のCO2貯留プロジェクトは、正味排出削減を達成するためにより最適化された計画及び操業が可能である。
Houlder社、海運CO2回収調査のスコープについて助言
6th July 2020
発行日:2020年7月6日 原典:Carbon Capture Journal Houlder社がPMW Technology社とのパートナーシップの下、CO2回収技術の利用可能性を評価する調査作業を開始。 PMW Technology社は、英国政府Department for Transport(運輸省)によるTransport-Technology Research Innovation Grant(運輸技術研究イノベーション助成金:T-TRIG)から直近に資金を供与された組織の1つである。T-TRIGから資金を活用して、同調査は海運業を脱炭素化させるべく、船舶用エンジンから排出されるCO2の先端回収技術を利用することの実行可能性、費用、インフラ、影響及び潜在的利益について評価する。 PMW Technology社の先端A3C CO2回収プロセスは、CO2 を凍結させた上で昇華させることで船舶排ガスからCO2を抽出するように設計されている。回収されたCO2は液化され、船内の専用タンクに貯留されるため、船舶用エンジン及び燃料の技術面における抜本的な見直しを行わずに船舶から排出されるCO2を回収出来る。 船舶工学並びに船舶の設計及び仕様に関する豊富な経験を持つHoulder社は、技術の運用可能性及び海運に利用する可能性を評価するための調査における、重要な変数について助言する。 船舶用エンジンからのCO2回収は、海運業界に新しい燃料システムの莫大な費用を回避するチャンスを与えると共に、既存船舶及び現在の高性能エンジン設計を保持することを可能にする。CO2回収の可能性を、海運業の脱炭素化を達成するより手頃な方法として評価することは、IMOの2030年及び2050年の目標に向けた前進を加速させることにつながる。
研究者ら、Otway(オトウェイ)で費用効果的なCCSを評価
6th July 2020
発行日:2020年7月6日 原典:Carbon Capture Journal Deakin University(豪州ディーキン大学)のエンジニアらが、豪州ビクトリア州南西部にあるポート・キャンベル(Port Campbell)近郊で実施されている世界最大のCCS実証プロジェクトにて、大型研究プログラムを開始。 工学部(School of Engineering)のWendy Timms教授によると、同大学のwater tracer技術チームによるこのプロジェクトは、深部地中貯留サイトの環境パフォーマンスの実証に役立つという。 「CO2はOtway(オトウェイ)施設で10年間以上安全に貯留されている。我々の研究は、長期CO2貯留モニタリングの費用を低減させることに焦点を置く」とTimms教授は述べた。 このサイトには、深部塩水層と貯留されたCO2に対する天然防壁の機能を果たす1.5キロメートル以上の岩層が含まれる。 Timms教授によると、研究チームは、その天然岩層防壁の上の浅い地下水の水質変動をtraceする新しい方法を開発するという。 「我々の研究の一部では、土壌及び浅い地下水におけるCO2活動の通常の変動をtraceするが、それはCO2活動が降水や土地利用活動等によって時間の経過と共に変化する可能性があるためである。この自然のパターンを理解することで、我々は何かの理由によって地下で生じるその他の変化を検知出来るようになる。」 「我々が収集する情報は土壌ガス及び浅い帯水層のモニタリングを改善し、世界中のCO2貯留サイトにおけるより費用効果的な技術の利用につながる」とTimms教授は述べた。 Otway National Research Facility(オトウェイ国立研究施設)は2008年、地球気候変動を緩和するという全体的な目的の下、CO2を安全に回収、輸送並びに様々な地下層において圧入及び貯留出来ることを実証するために設立された。 このプロセスは、1.5Km以上の深さにある砂岩貯留層にCO2を圧入し、岩石の孔隙に貯留し、地質学的な時間の経過に従って徐々に鉱物に変化させていくというものである。 CO2CRCの最高執行責任者(Chief Operations Officer)Matthias...
CCSと組み合わせたバイオエネルギーは規模が重要
3rd July 2020
発行日:2020年7月3日 原典:Bio Fuel Daily GCB Bioenergy誌に掲載された、University of Southampton(英国サウサンプトン大学)が率いる新しい研究が、英国全土に広がるBECCS発電所のサイト候補6か所を検証した。それぞれのサイトは、CO2貯留サイトまでの近さ、バイオエネルギー作物(biocrops)の輸送費及び土壌隔離(作物が大気中からCO2を除去するプロセス)や洪水緩和の可能性等、複数の基準において評価された。研究者らはまた、環境面における便益の費用と可能性を取り込むことで福祉価値も算出した。 ドラックス(Drax)社のプロジェクトサイトは、生態系サービスの便益を得るにあたって最も好ましい英国サイトの1つと特定された。しかし、1GW規模BECCSは500MW規模のものより環境に対する便益が大幅に少ないというように、これらの便益は規模が大きくなるにつれて低下するため、将来のBECCSは、このNET(Negative Emission Technology:ネガティブ・エミッション技術)のトレードオフとコベネフィットを評価するために、サイト特有の生態系サービス評価が必要となること、また、より小規模な発電所が大規模インフラより好まれることを示唆している。 パリ協定の目標達成には正味ゼロ排出になる必要があり、英国は、他諸国と共に2050年までに正味ゼロ排出経済を達成するためにNETの普及を計画している。BECCSは複数の正味ゼロ排出シナリオにおいて大きく取り上げられており、英国気候変動委員会(UK Committee on Climate Change)によれば、最高15GW(年間67MtのCO2を回収)になると見積もられている。しかし、BECCSシナリオを作るために現在利用されているモデルは、BECCSの環境面及び社会面の影響を数値化しておらず、環境についてはほとんど考慮していない。研究者らは、彼らの新しいモデルによってこの制約に対処したと考えている。 研究を率いたUniversity of Southampton及びUniversity of California Davis(米国カリフォルニア大学デービス校)のGail Taylor教授は次のように述べている。「この研究の新しい点は、BECCSの環境への影響を地域規模で数値化することに初めて成功しているところであり、長寿命の樹木は土壌炭素及び洪水防御にとって役立つことから、おそらく驚くべきことにBECCSはかなりの好影響を与え得るということを示している。」 「しかし、この正味便益は、BECCS発電所の立地に大きく左右され、また、我々の研究では発電所の容量が増加するにつれて一貫して低下している。もしBECCSが予測通り、2050年までに正味ゼロ排出を達成するための英国戦略において大きな役割を担うとすれば、これらは政策立案者らにとって非常に重要な研究結果となるだろう。」
CO2回収利用システムを開発するための新協定
3rd July 2020
発行日:2020年7月3日 原典:The Straits Times(シンガポール) 廃棄物質から価値を絞り出すシンガポールの運動が、低炭素経済を構築する努力を促進する協定の締結により、また一歩前進した。 昨日(2日)当地で署名された4社間の合意は、CO2回収・利用・隔離(CCUS)システムの開発を目指す。 これらのシステムは基本的に、地下貯留またはコンクリートや燃料等、他の商品の生産に利用するために、地球温暖化を引き起こすCO2を大気中から吸引するものである。 National Research Foundation(シンガポール国立研究財団:NRF)の最高責任者であるLow Teck Seng教授は、費用効果的ソリューションを推進するために低炭素研究開発に投資することは、シンガポールが低排出経済を構築するために必要不可欠であると述べた。 「シンガポールが、世界と同様、国内のエネルギー・ニーズのためにいまだ化石燃料に依存している一方で、効率的なCCUSを可能にする技術は国内の排出緩和に大いに役立つ」と同氏は言い添えた。「CCUSはまた、CO2を新しい化学物質、材料及び燃料に転換するチャンスをもたらし、新しい産業を成長させる可能性を与える。」 この合意は、Keppel Data Centres社、Chevron社、Pan-United社及びSurbana Jurong社が共同で「冷却材、膜及び水素を利用した新技術と組み合わせて、成熟したCO2回収技術」を開発するというものである。 これら企業はまた、大学及び国際機関を含む他の研究パートナーと協力して、CCUS技術の開発を前進させると、NRF及び関係企業は共同声明の中で述べた。 採算性が得られれば、CCUS技術は、シンガポールが2050年までに排出量を同国における2030年のピーク時と比べて半減させ、また、今世紀後半において実現可能となった段階で直ちに正味ゼロ排出を達成するという気候目標を達成するのに役立つと期待されている。